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「女将が宴会中盤『気に入ったコがいたら宜しく』と…」会社の慰安旅行先が“ヤバい島”だった若手社員の告白

『売春島』外伝#2

2020/12/28
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「だから私もその後、地元の悪い先輩たちに『こんなことあるんですね』と聞いたんです。すると、『うん、あるよ』と。曰く、ヤクザが名古屋から連れて行くんだというんですね。ソープに沈めて毎月100万を小刻みに貰うより、島に売り飛ばして2000万貰った方が手っ取り早いということらしい。一律200万? それは間に誰か入ってかなり抜かれてると思いますよ。ちなみに、2ヶ月に1回くらい島に会いに行って心のケアをするヤクザもいれば、売ったっきりのヤクザもいたということでした」

島の船着き場付近(著者提供)

 確かに拙著の取材でも、人身売買ブローカーの男は複数の人間を通じて島にオンナを送り込んでいたし、「スペックが高ければ300万で買った」という渡鹿野島の置屋でチーママをしていた女性の証言もある。それにスカウトマンの男性は、沖縄のちょんの間街・真栄原に800万でオンナを売り飛ばしたことがあると明かしていた。売り手が違ったり、中間搾取がないことで大金が動いた可能性も否定できない。

島の事件を報じた新聞(著者提供)

島を訪れたのは1度きりだった

 数年後、加藤さんは、渡鹿野島から逃げた女性を扱ったニュース番組のワンコーナー、拙著でも紹介した「島から泳いで逃げた女の告白」を偶然、見ていた。1995年8月15日、男に騙され売られた当時17歳の少女・メグミが売春島から泳いで逃げた。彼女はモザイク越しだが体格が良いのが分かった。学生時代は水泳部だと語っていた。

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 それを見た加藤さんは、オンナが別れ際にこぼした言葉を思い出す。

「騙され、売られたことは自覚してる。もうしょうがないから、しっかり稼いで、また名古屋へ帰るんだ」

 周りは海。常に監視されている。加藤さんが語り合ったオンナの頭からは逃げることは早々に消えていた。

 

 しかしメグミの告白を知って、加藤さんはオンナと名古屋で再会する日を願った。「偶然にも社会の暗部を見てしまった」と心を痛めた加藤さんが島を訪れたのは、この一度きりだった。(前編を読む)

 12月28日(月)21時から放送するYouTube「文春オンラインTV」では、筆者の高木瑞穂氏が出演し、記事に書き切れなかった実態について解説する。

売春島~「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ~

高木 瑞穂

彩図社

2019年12月17日 発売

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

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