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「スクールロイヤー制度で、いじめはなくなりますか?」 弁護士が考える“いじめと法律”

2021/01/07

genre : ライフ, 社会, 教育

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学校風土調査で「いじめ」を減らしたい

──スクールロイヤー制度が広まることで、いじめはなくなると思いますか。

鬼澤 それは、「世の中でなぜ人権侵害が発生するのでしょうか」というのと同じくらい難しい質問ですね……。ただ、少なくとも弁護士が入ると先生たちは法的観点を踏まえた対応ができるようになります。いじめ分野については国内外で膨大な研究データがあるので、そうした研究を適切に法律や教育現場に反映できるよう弁護士が介入していくというのは、解決の糸口になると思います。

──いじめ防止推進に足りないのは、何だと思いますか。

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鬼澤 エビデンスです。「受けた側が心身の苦痛を感じたらいじめ」と定義が広がったいまは、好きじゃない異性から好きだと告白されることも「いじめ」といわれかねません。

日本はまだ、いじめが起こってから「いじめがあったかどうか」という調査の仕方をしていますが、世界的にはいじめが起こりうる土壌があるかどうかを調べる学校風土調査が主流になっています。

 何が課題で、何がいじめ予防のために必要なのかというのは学校風土調査を進めることで見えてくると思っているので、個人的には制度化を含め、ぜひ全国レベルに広げていくべきだと思っています。

©️iStock.com

 教育機会確保法など、教育現場に関わる法律もできてきましたが、法律は行動を縛るためのものではありません。法律の意義は、よりよい環境を実現するためにあります。現場の先生たちに法律の知識が備わり、その趣旨が浸透すれば、いじめの少ないよりよい環境は、きっと目指せると信じています。

息子がいじめの加害者に? 大原さんちの大ピンチ

由軌子, 大原

文藝春秋

2020年11月12日 発売

「スクールロイヤー制度で、いじめはなくなりますか?」 弁護士が考える“いじめと法律”

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