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初詣を作り出した鉄道のプライド

 以来、一度も途切れることなく終夜運転は続けられてきた。

 時代の流れの中で、近年は終夜運転は鉄道会社にとってコスト面において負担になりつつあったことは間違いないだろう。娯楽が増えて、年末年始を自宅で過ごす人はむしろ増えているのかもしれない。

日本の初詣文化の成り立ちには、鉄道が関わっていた ©iStock.com

 だが、むしろ初詣という文化を自ら作り出して定着させたのは鉄道にほかならぬ。そうした中で終夜運転を続けていくことは、いわば鉄道にとっての原点回帰。年末年始の終夜運転は、鉄道を走らせるものとしてのプライドの現れだったのかもしれない。新型コロナの感染が拡大する中でも、最後まで終夜運転をやろうとし続けた鉄道会社さんの心意気、悪くない。

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 しかし、そんな終夜運転も、新型コロナに見舞われてついに約70年ぶりに“中止”。果たして1年後の大みそか、深夜に電車は走っているのだろうか――。