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2021年の立ち食い・大衆そばへ“5つの予言” 閉店ラッシュの先で生き残る店の特徴は?

2020/12/22

 2020年、今年の漢字1字は、清水寺は「密」、河野行革相は「砕」と発表した。

 ちなみに2019年の清水寺の1字は「令」だった。2019年の師走は、インバウンドだ、オリンピックだと日本中で盛り上がっていた。

 ちょうどラグビーワールドカップの成功もあって拍車をかけていた。2019年の立ち食い・大衆そば業界の漢字1字は「継」と個人的に発表して、神田三崎町の「とんがらし」を紹介していた。

2020年という年を振り返ると…

 2020年の立ち食い・大衆そば業界の漢字1字は「悲」とか「無」とかもありえるが、「閉」に決まりだろうと個人的に考えている。とにかく閉店の嵐。ひどい1年だった。

 今年閉店していった立ち食い・大衆そば店を列記してみるとこんな具合だ(太字は文春オンライン掲載店)。

 青砥の「青砥そば」、豊洲東雲の「てっちゃん」、田町の「丸長」、春日の「源太郎そば」、六番町の「ゆで太郎」、自由が丘・御茶ノ水・蒲田などの「そば新」、歌舞伎町店・西新宿店の「嵯峨谷」、「六文そば昌平橋店」、「六文そば浜松町店」、大森の「麦の城」、御茶ノ水の「明神そば」、大森の「信濃路」、市ヶ谷の「宇ち乃」、東中野の「えきそば」、銀座の「小粋そば」、渋谷・本郷・神田西口・京橋・駿河台の「小諸そば」、稲城長沼の「一休」、新橋の「かき天」、渋谷の「本家しぶそば」、五反田の「後楽そば」、米原駅の「井筒屋」、甲府の「丸政甲府駅南口店」などなど。

 こうしてみると、長きにわたり営業していた店も多い。

 また、個人店に多いというわけではなくチェーン店として人気となっていた店も含まれている。このあたりが空恐ろしい。

「本家しぶそば」はビル再開発のために9月13日に閉店した。閉店時は多くのファンが集まり、店長や関係者からの挨拶に惜しみない拍手を送っていたのが印象的だった。

 京橋の「小諸そば」は1号店であり、その後の繁栄を象徴する店であった。9月30日の閉店前には開業当時の値段でサービス販売をしていたのが寂しかった。また、大衆店ではないが近所のうどんすきの老舗「美々卯」も5月20日に廃業していた。

 12月14日に閉店した五反田の「後楽そば」は製麺所も廃業するという。系列店はラーメン店のみ残し他はすべて閉店するという。あのやや太い麺の濃い味の焼きそばがもう食べられないと思うと残念でならない。

12月14日で閉店した五反田の「後楽そば」の焼きそばは絶品だった

 この業界は「薄利多売」で利益をあげている。それがコロナ禍で来客数が激減し、「薄利少売」になってしまった。テレワークで都心のオフィス街に人がいないのだ。神田和泉町の「二葉」のオーナー、堤知宏さんは「背広を着た人がほんとに少なくなった。近隣の大企業がテレワークしていることが原因ではないか」と話す。

「そば処かめや」のオーナー荒川雄行さんは、「居住地域が近い店舗の売り上げはそう落ち込んでいない。コロナ禍をバネに自分たちの営業力をアップするいいチャンスだ」という。