予測5:国内産蕎麦粉の使用の比率が上がる可能性も。
2019年から2020年にかけては、国産そば粉の在庫がかなりだぶついたようだ。必死でさばいているところだと思うが、この傾向は2021年も続くと思う。少し高めでも、国産のそば粉を使ったキャンペーンが増える可能性もある。「しぶそば」で恒例行事となっている国産の新そばの提供といったキャンペーンが、他社でももっと増えていくかもしれない。
「丸亀製麺」などでは国産の小麦粉を使用していることをアピールしている。つなぎの小麦粉も国産にする可能性もある。
秦野の「丹沢そば本店」代表取締役の石井勝孝さんと知り合ったことは今年最大の収穫だった。秦野の三廻部や横野に7000坪以上のそば畑を開拓し、そばを収穫保存し、玄そばの「剥き立て・引き立て・打ち立て・茹で立て」の4たてを実現し、販売・ブランド流通までを一気通貫で行っている奇跡の男である。こうした国産のそば粉が立ち食い・大衆そばに利用される日も遠くないかもしれない。
「新しいそばの世界」の広がりの胎動を
食の安全、密にならないコロナ対策、アピールできる付加価値のあるメニュー開発、テイクアウトなどの新しいスタイルが求められている。もう驚くような売り上げを目標とする時代は終わったのだろう。じわじわと浸透するような、心に訴える商品をそろえていくような考え方が必要なのかもしれない。それが多少キテレツなメニューであってもよいと思う。
「名代富士そば北千住東口店」が提供した「きのこクリーム蕎麦」(500円)や「Seafood Soba」(600円)でもいいと思う。
立ち食い・大衆そばは、そば食いの登竜門だとよく言われる。しかし、いつの時代でもこの領域の達人たちが、新しいメニューを大衆市民とともに開発し、大きく花開させていったわけである。そういう意味で、新しいそばの世界の広がりの胎動をじっと待つ2021年になるのだろうと期待している。
どうか読者の皆様もコロナには留意して、年越しそばを召しあがってください。