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「酔ってしまいたいけど、どうしても酔えない」 中国人妻が風俗嬢へと転落した“末路”

『中国人「毒婦」の告白』#18

2021/01/07
note

店舗前に所在なげに出ていた中年のマスターらしき男と眼が合った

 別の店ではこういう。

「昔はこのあたりは演芸ホールがはねた後、あるいは浅草寺帰りに、国際通り超えてそこそこの客がやってきてたね。そりゃホテルも飲食店もまずまずの賑わいだった。だが最近は浅草全体が落ち込んでいるからサッパリだ。あの7階建てビル? ファッションビルというかモダンビルではこの界隈の走りさ。でも今は客もあまりこないし。大変だと思うよ」

©iStock.com

 時の景気に左右されやすい水商売や風俗業。6ヶ月たてば銀座、六本木でも大きく様変わりするという中で、4、5年前の風俗店を知る者も少なく、さらにはその中国人女経営者の存在など誰も覚えていないのが現実だ。

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 そんな別の夏の日、国際通りを浅草寺側に渡った某飲食店。古そうな、こじゃれた和洋折衷の店だ。開店前の午後4時過ぎ、店舗前に所在なげに出ていた中年のマスターらしき男と眼が合った。私は思わず、カラーコピーの詩織の姿を見せ尋ねた。

「この女性知りませんか?」

中国人「毒婦」の告白

田村 建雄

文藝春秋

2011年4月20日 発売

「酔ってしまいたいけど、どうしても酔えない」 中国人妻が風俗嬢へと転落した“末路”

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