ずっと家の中にいると息が詰まる。かといって人の多い町に出る気にもなれない。そんな日々が続く中では、気軽に登ることのできる山が息抜きのひとときを与えてくれる。
東京都心から1時間ほど電車に乗ればたどり着ける高尾山は、年齢を選ばずハイキング感覚で登れる山として古くから多くの人に愛されてきた。標高は599メートル、麓から中腹へはケーブルカーとリフトを利用して一気に運んでもらうこともでき、初心者でも簡単に山気分を味わえる。
私はこれまでに何度も高尾山に登ったことがある。リフトを使ってショートカットをすることもあれば、徒歩で1時間半ほどかけて登ることもある。歩きで登ればなかなかいい運動になるし、登山上級者の方々は高尾山からさらに先、近くの山々へと縦走していくようだし、とにかくその時の気分、条件などによって難易度を細かく設定できるのが高尾山のいいところだと思う。
ぼーっとした時間を過ごす
今回、広い景色を見渡しながらぼーっとした時間を過ごすべく、高尾山の山頂までできるだけ気楽に登って付近の茶屋で軽く飲んで帰ってくることにした。交通の便もいい高尾山だけに週末にはこのご時世でも登山客で混み合うことがあると聞き、平日の午前中に出かけてみることに。
高尾山口駅を降りると、これから山に登るらしき人々の姿が。山登りウェアで全身をしっかり固めている人もいれば、町の中を歩いているままのようなオシャレな服装の方もいて、その雑多さがいかにも高尾山らしい。駅から数分歩けばすぐケーブルカー・リフトの乗り場だ。
15分間隔で運転しているケーブルカー、常時稼働しているリフトともに同じ料金で山の中腹まで運んでくれる。どちらを選んでもだいたい同じ場所にたどり着くのだが、外の空気をじかに感じられてちょっとスリルも味わえるリフトを選ぶことに。
急斜面を登っていくリフトの両脇には木々が高く伸び、シーズンを過ぎた今でも鮮やかに紅葉している木がちらほら。
約12分の乗車時間が過ぎ、リフトから降りるともうそこは標高462メートル地点だ。
「ここでゆっくり休んでリフトで降りるだけでいいのでは?」とも思ってしまうが、それではあまりに志が低すぎる。山頂を目指して登っていこう。