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「別姓反対派」と「同姓反対派」の感情の衝突

「選択的夫婦別姓反対」というのは、感情の問題でしかない。反対する人には明確なロジックがあるからではなく、別姓がなんとなく家族制度を壊してしまう、家族の絆を毀損すると感じているからだろう。

 そういう感情を、ロジックで打破することはできない。しかしロジックで打破できないからと、そこに感情を持ち込んで別姓反対派をバカにしたり、罵ったりすると、逆にマイナスの影響のほうが大きくなってしまう。実際、今冬に公開された映画「STAND BY ME ドラえもん 2」の広告で、のび太と結婚したしずかちゃんが「野比しずか」と書かれていたことに対して、「キモい」「グロ」「女性はケア要員じゃない」とツイッターなどで非難の言葉が浴びせられた。

 選択的夫婦別姓は、別姓を選ぶのか同姓を選ぶのかは当人たちの自由な選択である。それなのに同姓を選ぶと、このように非難される可能性がここに来て浮上してきてしまっている。これは別姓反対派と同姓反対派の感情の衝突でしかなく、不毛きわまりない。

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©️iStock.com

 振り返れば1990年代ぐらいにも、働く女性vs専業主婦の論争があったのを思い出す。それぞれの選択は個々人の自由であって、なにも互いに相争う必要はまったくないと思うのだが、どうしても自分が信じる単一の価値観に社会を染め抜かないとすまないという人たちが一定数存在し、その人たちによって私たちは「感情の闘争」に巻き込まれがちになる。

 そういう闘争からは距離を置いて、冷静にそれぞれの選択の自由を大事にしていくことが大切だ。先にも書いたように、世代交代がすすむか裁判所の判断が出ることで、選択的夫婦別姓も近い将来に必ず実現するのは間違いない。闘争ではなく冷静にじっくり勝機を待つほうが良いと思うのだが。