スポーツ選手が憧れの人物上位にいないのは、まだ社会情勢的にスポーツを楽しむ余裕がない、なんだかんだ巣ごもり生活に慣れてきたとか様々な理由が考えられる。なお、10月に進研ゼミ小学講座会員9914人に聞いた「コロナがはやる前と比べて、キミの生活はどう変わりましたか? 」アンケートでは、「読書やテレビ視聴の時間増加は約7割、ネットやゲームは約5割が増加、自宅学習の時間も約6割が増加」という結果が出ている。
子どもたちもコロナ禍で自宅で過ごす時間が急増し、一時的な“スポーツ離れ”が進みアニメやゲームがさらに身近な存在になった。2年前の2018年にベネッセが小学生4~6年生の男子に聞いた「なりたい職業」ランキングでは「1位サッカー選手、2位野球選手」だったのが、今年12月発表のなりたい職業アンケート結果は「1位ゲームクリエイター・プログラマー、2位ユーチューバー」である。
「世界で戦う」ことが人気の条件
そんな中で日本スポーツ界にとって致命的だったのは、コロナ禍によりメジャー大会が延期・中止になった以上に、海外移動が厳しく制限されたことによる、「世界と戦う」という少年ジャンプ的な王道ストーリーの消失だ。興味深いデータがある。おもちゃメーカーのバンダイが小中学生を対象に実施した「好きなスポーツ選手」アンケートの最新2019年版を見てみよう。
1位 大谷翔平(野球)9.3%
2位 羽生結弦(フィギュアスケート)7.0%
3位 大坂なおみ(テニス)6.7%
4位 錦織圭(テニス)5.2%
5位 浅田真央(フィギュアスケート)5.0%
6位 八村塁(バスケットボール)4.3%
7位 池江璃花子(水泳)4.2%
8位 サニブラウン・ハキーム (陸上) 3.3%
9位 久保建英(サッカー)3.1%
10位 本田圭佑(サッカー)2.7%
彼ら彼女らに共通しているのは「世界を舞台に戦っている」というキーワードだ。野球選手で唯一ランクインしている1位の大谷はメジャーリーガー(日本ハム時代は17年5位が最高位)だし、全豪オープンテニスで日本人初優勝を飾った大坂なおみや、NBAのワシントン・ウィザーズで活躍する八村塁にしても舞台は“世界“である。