ドラッグ、盗撮、性接待の温床とされたクラブ
バーニング・サンとは、ソウルの新興高級エリア・江南区にあったクラブの名前。その取締役を務めていたのが、当時BIGBANGメンバーとして最高の人気を謳歌していたV.I(30)だ。
2018年11月に起こった暴行事件を引き金に、同クラブを舞台とするレイプドラッグの蔓延、売春斡旋、また警察との癒着といった疑惑が次々に表面化。そして2019年2月、V.Iがバーニング・サンを拠点として外国人投資家相手の“性接待”を計画していた疑惑がスクープされる。
その接待相手として現地メディアに名指しされた“投資家”が有名な日本人女優の夫A氏だったことも、日本の芸能メディアで一時注目を集めた。
さらに2019年3月には、V.Iほか男性アイドルや人気歌手らが性的な盗撮動画をSNSで共有していた問題も発覚。被害にあった女性は10人以上と見られ、韓国中から怒りの声が上がった。
所属アーティストの薬物問題で引退宣言
V.Iは当初疑惑を否定していたが、盗撮問題が報じられた直後に芸能界引退を表明。その2日後、YGはV.Iとの専属契約打ち切りを発表した。
だがYGを巡るスキャンダルの噴出は止まらず、同年5月にはヤン氏自身による“性接待”スキャンダルが浮上。2014年に東南アジアの資産家らにたびたび大勢の韓国人女性をあてがったとする疑惑が、当事者という人物の証言も交えて詳細に報じられた。
加えてヤン氏にとって致命打となったのが、6月に発覚した新たな薬物スキャンダル。YG所属の若手男性グループiKONのリーダーB.Iが、2016年にLSDを購入した問題がリークされたのだ。
ヤン氏が引退を宣言したのは、その発覚から2日後のこと。そして2019年8月、V.Iとともに海外で賭博を行った容疑で立件された。ただし性接待疑惑について警察は同年9~10月の時効を前に捜査を急いでいたが、証拠不十分で不起訴となっている。
軍事裁判所で裁かれているV.I
一方のV.Iはいま、裁判の真っ最中。その過程で再び日本人“投資家”の名前が取りざたされていることが、現地メディアで伝えられている。
2020年1月に起訴された彼は、同年3月に徴兵のため軍に入隊。これにより一連の事件が軍事裁判所に移管され、9月から京畿道の地上作戦司令部で裁判に臨むことになった。
法廷で問われている容疑は8つ。売春とその斡旋、盗撮動画の流布(性暴力処罰法違反)、バーニング・サンの資金の横領、脱税目的でクラブを一般飲食店と偽って届け出た食品衛生法違反、海外での常習賭博とそれにともなう外国為替取引法違反などだ。ただしV.Iは、外国為替取引法違反の全ての容疑を否認している。