“愛社精神”を周囲にアピールすることもポイント
A子さんが続ける。
「自分と同じ部署の社員に0.1ポイント刻みで点数をつけて、専用の用紙に点数を記入していきます。部署によっては1人だけの部署もあるので、そういうところは自己評価になりますが、2.4以下か3.6以上の点数をつけた場合は、その理由も記入する決まりです。平均点が3.0くらいになるように調整するので、2.0がつけられることはかなり稀ですが、誰か1人にでもこんな評価をされたら会長に目をつけられてしまいます。それにこの評価を見ればわかるように、結果を出していればそれでいいというわけではないのです。“愛社精神”を周囲にアピールすることも大切なポイントなんです」
そして2020年12月24日、DHCではまた新たな人事の評価基準が導入されたという。社内に掲示された「賞与と愛社精神について」と題された会長からの文書に社員らはどよめいた。
《12月28日に賞与を支給する。賞与の査定は従来、勤怠と会社への売上貢献度を中心に判定した「頑張り評価」を指数化(2.5から4.5)して行われたが、今後「頑張り評価指数」と「愛社精神評価指数(2.0~5.0)」の平均値で評価することとた(原文ママ)》
「穀潰し」などの通常の人事評価とは異なる、賞与査定時に用いられる新たなシステムだ。
「DHC特別社員」と命名
《会社勤務に当たって最も大切なものは何よりも愛社精神である。今回らくがき板のデジタル化の協力を社員に求めたが、120名の社員が無償で協力したいとの応募があり、今現在想定以上の多数の投稿が実施され、その効果の大きさに驚いている。これこそ愛社精神の発露以外の何物でもない。今後彼らがDHCの救世主になることは間違いない。涙が出るほどありがたい社員たちであり、彼らを「DHC特別社員」と命名することにした。特別社員はその投稿数によって3.0から5.0の指数を与えることとした》
《らくがき板のデジタル化の協力》とは#2で詳報した“サクラ投稿”のことだ。吉田氏は2020年8月にDHCの商品を絶賛する口コミをSNSなどに投稿する業務を担ってくれる社員を募った。そして、この“サクラ投稿”を無償で引き受けた社員を「ゴールド社員」と呼んでいたのだが、彼らを「DHC特別社員」と命名し、ボーナスの支給額をアップさせるというのだ。