公式サイトに「チョントリー」など特定の民族や国籍を差別するような文書を掲載したDHC代表取締役会長の吉田嘉明氏(79)。ネット上ではこの“ヘイト投稿”を受け「#差別企業DHCの商品は買いません」との不買運動が広がっている。
「文春オンライン」の取材で、実は吉田氏の差別発言は常態化していたことが判明。吉田氏名義でDHC社内向けに不定期で出される内部資料「通達」と、現役社員(取材時)の告発をもとに、その実態を詳報した。(#1)
しかし問題はこれだけではない。吉田氏は社員に対して、自社商品の口コミを書き込む“サクラ投稿”を指示していることが判明。消費者庁や文化庁に取材をしたところ、吉田氏が主導している“サクラ投稿”は景品表示法や著作権法に触れる可能性があるという。そのうえ吉田氏は、“サクラ投稿”を無償で引き受けた社員を「ゴールド社員」などと“格付け”していることも明らかになった。(#2)
ヘイト発言に“サクラ投稿”——。こうした行為がDHC社内でまかり通ってしまう状況には、「人事」が影響を及ぼしているという。#1と#2で告発したDHCの社員A子さんとBさんが語る。
大っぴらに批判すれば人事評価で最低点に
「私たちも会長のヘイト発言や“サクラ投稿”には嫌気がさしています。しかしそれを大っぴらに批判することはできません。もし“会長派”の誰かが聞いていたら、告げ口のFAXを会長に送られたり、人事評価で最低点の『2.0』をつけられてしまうかもしれませんから。
DHCではボーナス前の時期に、社員同士で人事評価をし合う制度があるんです。しかもその評価軸が少し変わっているというか……」
取材班が入手した「平成30年より新人事評価」と題されたDHCの内部文書には、次のように記されている。
《4.0 誰が見ても著しく会社に貢献している。能力が並外れて高く、この人がいなくなると会社は大損害である。誰よりも愛社精神に満ち満ちている。
3.5 会社にとってかなり大切な人である。平均的な社員より間違いなく優秀であり、会社に確実に利益をもたらしている。愛社精神が感じられる。
3.0 給料分は働いている。勤労意欲はあるが、結果が優れているというわけでもない。大企業のどこにでもいる並みの社員である。
2.5 給料をもらうため、生活のために会社に来ている。こういう社員が蔓延すると会社は必ず衰退していき、やがては倒産につながる。
2.0 問題外の社員。穀潰し。即刻辞めてもらいたい。》