「IT推進部は腐った部署」という評価
しかし「愛社精神評価指数」が導入されたことで、憂き目に遭っている社員もいる。「賞与と愛社精神について」にはこうも書かれている。
《最低評価2.5に該当するのは、大勢の部署で部署全体に協力しようとする者が誰もいない腐った部署である。IT推進部がそれにあたる(原文ママ)》
「なぜIT推進部がこんなにも酷い扱いを受けているかは誰もわかりません。噂では、らくがき板の“サクラ投稿”に誰も手を挙げなかったからだとか、IT推進部の社員が『ヤケクソくじ』が炎上した際に検索サイトで上位に表示されるように細工したから会長に目をつけられたのだろう、とか言われています。
IT推進部はDHCの通信販売を取り仕切ったりネット広告などを請け負う、今後のDHCには欠かせない部署なのに……」(A子さん)
ボーナスのお礼をファクスで
そのうえ、吉田氏の言う愛社精神は「アピールが上手いかどうかで決まるという側面もある」ようだ。A子さんが説明する。
「2020年8月7日に出された『通達』には、《(賞与の支払いについて)三千人もいる社員の中で小生にお礼のファックス送ってくれた社員はたったの一名のみであった。DHCは腐っている(原文ママ)》と書かれていました。《小生》というのはもちろん吉田会長のことです。ボーナスのお礼を社員がファクスで会長に伝えるなど、普通の会社ではあり得ませんよね? この会社では一生懸命仕事をするだけでは評価されない。やるせないですよ」
「賞与と愛社精神について」にはこうも記されている。
《特別社員の愛社精神指数の平均は3.4である。その分、今期の賞与支給において優遇されることとなる。今回は愛社精神を判定する材料が限られるので、ほとんどの社員が2.7~2.8程度となる。今後自薦他薦を含めて愛社精神を発揮している社員がいれば、その都度会長室迄ファックスをしてほしい。反社行動もまたしかりである。必ず愛社精神指数に反映することを約束する》
この評価が本人に明かされることはないのだという。
「自分自身がどのように評価されているかは全くフィードバックされません。理由が明かされないままに、給与や賞与がいつの間にか下がっているんです。そんなときには『何かまずいことしたかな……?』と不安になります」(A子さん)
Bさんによると、こうしたボーナス前の人事評価アンケートとはまた別のアンケートも存在するという。