スピード区間の3区で一気に抜け出すのを狙うのが、中谷雄飛(3年)を配する可能性が高い早大。早大は2区にもう1人の有力ランナーである太田直希(3年)を置いており、この2人の10000m27分台ランナーで先頭に出て、大きな貯金を作りたいはずだ。
また、エントリーが上手く配置が読みにくい明大もスピード型のエース・小袖英人(4年)を起用してくる可能性がある。今回の明大は全体的に穴がなく淡々と上位に食い込んできそうな雰囲気がある。仮に序盤で苦戦しても、小袖が3区で上位の背中が見える位置まで順位を上げてこられれば、後半が面白い。
「エース不在」の4区はカギになる?
そして、昨季は青学大の吉田祐也(現GMOアスリーツ)が勝負を決めた区間となった4区だが、今季はここにエース格の選手を置きそうなチームがいない。裏を返せば、この区では選手の好不調によって大きな差がつく可能性がある。ここをどうしのぐことができるのか――。それ次第で、各チームの趨勢が見えてくるかもしれない。
最後に、天下の険を上る5区に宮下隼人(3年)を置くのは東洋大だ。本来ならば4年生の西山和弥がエースなのだが、ここまでなかなか駅伝での不調を脱せられていない。それでも、昨季区間賞を獲得している宮下が「4代目・山の神」に迫る活躍を見せられれば、1人で勝負を決められるだけの破壊力があるだろう。
エースという「飛び道具」の使い方
こうしてエントリーを見るとわかるように、今季の箱根では各チームでエースを置く区間も狙いも様々に異なっている。だからこそ、レース展開を正確に想定できたチームがアドバンテージを握ることになる。
そんな指揮官の思惑が問われる戦略駅伝のなかで、自チームが持つエースという「飛び道具」をどこでどう使うのか――それこそが勝負を決める最後の一手になるはずだ。
裏を返せば、現代の箱根駅伝には画一的な「エース区間」など、もはや存在しないのかもしれない。