大雑把に言えば1区と3区はコースが平坦なのでスピード派のランナーが活きやすい。ただし1区は集団走からの駆け引きとスパート力が必須になり、3区は海から吹き付ける強烈な海風と気温差に耐えられるタフさが必要になる。
2区と4区はアップダウンが激しく、上り下りを苦にしない脚力のあるタイプが求められる。特に2区は前述のように最後の3kmに強烈な上りがあるため、上りに強いことは必須条件だ。4区は単独走になることも多いので、ひとりでも押していけるメンタル的な要素も求められる。
5区はいわずもがな、山上りである。走力はもちろん、圧倒的な坂への適性が必要になる。
有力校の区間エントリーから見える「戦略」
さて、それらを踏まえて今季の有力校のエントリーを見ていこう。
まず1区にエースを置くのが濃厚なのが、昨季同様、吉田圭太(4年)を起用した青学大だ。
青学大は選手層が厚く、どこの区間にも力のあるランナーを置くことができる。それゆえ絶対に避けたいのが1区での出遅れということになる。だからこそ、そこに指揮官が絶大な信頼を寄せるエースの吉田を置くことで、後続のランナーにも安心感を与えることができる。滑り出しさえ順調にいけば、そこからの地力には自信があるという原監督の思惑の現れともいえる配置だ。
また、ダークホースの順大と中大がルーキーエースの三浦龍司と吉居大和をそれぞれ起用してくる可能性も高く、そうなると一気に高速レースに拍車がかかる。吉田を置いておけば、そんな状況でも十分に対応できるという思惑があるのだろう。
従来通り2区にエースを配置してきたのが、田澤廉(2年)を置いた駒大と名取燎太(4年)を起用した東海大。
田澤は今季の学生10000m日本人最高タイムを持っており、ここで一気に混戦から抜け出して独走にもちこみたい。東海大はもうひとりのエースである塩澤稀夕(4年)が1区に来るかどうかで名取の走り方も変わるが、いずれにせよここで先頭集団には順位を上げておきたい算段だろう。