昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/01/04

【2区】区間新ヴィンセントにムセンビの“内助の功”

西本 花の2区は、区間新記録が誕生するなど、いろいろ見どころがありましたけれど、今回は「通訳」でしたね。

ポール 1区が「サンキュー塩澤」だとしたら2区は「サンキュールカ・ムセンビ」。

西本 区間賞を取った選手は必ず区間賞インタビューを受けますが、今回区間新記録を打ちたてたのは、東京国際大学のイェゴン・ヴィンセント選手。実はこれまでの留学生は辿々しいながらも、片言の日本語で受け答えしていました。ただ、アナウンサーとうまくコミュニケーションが取れない場合が多く、なんとなく魅力が伝わらないまま終わってしまうという悲しい歴史がつきものだったんです。それを覆したのが、通訳を買って出たルカ・ムセンビです。

ヴィンセント(左)の通訳を買って出たムセンビ

ポール ヴィンセントのチームメイトなんですが、来日2年目のヴィンセントと違って、彼は高校生の時から日本に留学しているので、日本語がうまいんです。

西本 その彼がヴィンセントの通訳に入ったおかげでスワヒリ語がきちんと訳された。アナウンサーと留学生とのディスコミュニケーションが解消されたんです。

 ちなみにこの後、4区を走った山梨学院大学のポール・オニエゴも区間賞を取ったのですが、彼も日本語が不安だったため、SNS上では「ルカ、小田原に移動」っていうリクエストで盛り上がりました。

 ところが放送上では「オニエゴがシャイだから」と言う理由でコメントが読み上げられただけで、インタビューはないまま終了。だけどもし通訳つきの母国語でインタビューしていたら、山梨学院大学の選手らしく、「花が咲く」とか「根を張る」のような上田誠仁元監督の名言が飛び出したかもしれない。

 僕が日テレの担当者だったら、「ルカすみません。小田原へ」と空撮用のヘリコプターを手配したいくらいですよ(笑)。グローバル化が叫ばれている現在、これからは各区にスワヒリ語のひとつやふたつ話せるスタッフを配置することを提案したい。

11月の全日本大学駅伝ではアンカーを務めたムセンビ ©榎本麻美/文藝春秋

ポール 通訳が難しければ、ポケトークやグーグル翻訳を用意してもいいですよね。

西川 でも東京国際大学、すごくないですか? 普通なら付き添いは、走る前の中継所でつけるんですよ。走り終わった後に付き添いがやることはほとんどないですから。あそこにルカを配置したということは、ヴィンセントが区間賞を取って、インタビューがあることを見越していたとしか思えない。

ポール なるほど! それはすごいですね!

z