“ゲームの博物館”とすらいえる圧倒的な情報量
楽曲は800曲以上も収録されており、これだけでゲームソフトの定価を越える価値を持つだろう。元の曲がそのまま収録されているケースもあるが、『スマブラ』のために新たにアレンジした楽曲も多数収録されており、アレンジ担当の作曲家もゲーム音楽の有名な人物ばかり。
また、最新作ではファイターとは異なる「スピリッツ」という存在がある。これはファイターの能力を変化させる役割を持っており、シンプルにイラストのみで登場するサポートキャラクターだ。イラストで登場するがゆえに、実に多くの作品のマイナーなキャラクターも出せるようになっている。
たとえば、ゲーム機のなかで犬を飼えるゲーム『Nintendogs』の「トイ・プードル」なんてキャラクターもいれば、有名なインディーゲーム『Cuphead』のキャラクター「デビル」など、本当にピンからキリまでさまざまなキャラクターが出てくる。記事執筆時点でスピリッツは1400体存在しており、アイテムの「モンスターボール」や「アシストフィギュア」などから出てくるキャラクターも含めれば、『スマブラ』に登場するゲームキャラクターはまさしく膨大な数になる。もはや『スマブラ』は、“ゲームの歴史博物館”とすら呼べるくらいとんでもない作品なのだ。
マリオの生みの親、宮本茂からはNGを出されていた
そんな『スマブラ』の企画を考えたのは、現在も同シリーズでディレクターを務める桜井政博氏。『星のカービィ』シリーズの生みの親としても有名で、当時はHAL研究所というゲーム会社で開発を行っていた。
このころは『ストリートファイターII』シリーズなど、2D対戦格闘ゲームがとても人気だった。しかし2D対戦格闘ゲームは進歩を続けると同時に複雑になり、プレイヤーを選ぶようになっていった。ゆえに桜井氏はそのアンチテーゼとして本作を発案。ニンテンドウ64の特徴である3Dスティック(360度自由に動かせるアナログスティック)を活かし、気軽に楽しめて奥深さもある対戦アクションゲームを目指していた。