地域差があるのは産業構造の違いからか
地域差も考慮すべきだろう。都道府県で自殺件数のピークが違っている。30歳未満で見てみると、例えば、大阪と愛知は2020年8月、宮城と東京、福岡は9月、北海道は10月、広島は11月がもっとも多い。8月は全体として自殺者は多い。
7月以降、著名人が複数、自殺した。著名人が自殺したとき、過度に繰り返したり、センセーショナルな報道などがされると、一時的に自殺が増えると言われている。これは「ウェルテル効果」と呼ばれるが、地域差があることを考えれば、それだけで説明しきれない。産業構造が違っているからだと思われる。
若年層への細やかな配慮が必要
今後は、学校内や家庭内のストレスからメンタルヘルスが悪化し、自傷行為や自殺企図に向かうことが心配される。そのため、子どもたちのSOSを受けとめるための相談体制を整備、充実する必要がある。
厚生労働省は、2017年に起きた座間市男女9人殺害事件で、白石隆浩死刑囚と被害者がTwitterでつながったことから、SNS相談事業を開始し、NPOなどに運営を委託している。コロナ禍の影響からか、アクセスが増えているという。しかし、アクセス数のうち、実際相談できている比率は多くはない。また、「死にたい」と思ったり、誰かと繋がりたい時間帯は深夜や早朝だったりする。こうした若年層の声をいかに聞くか、細やかな対応が求められる。
【悩みを抱えた時の相談窓口】
「日本いのちの電話」
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東京自殺防止センター(電話相談可能) https://www.befrienders-jpn.org