政府は1月7日、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、緊急事態宣言を発令した。期間は2月7日まで。
前回の緊急事態宣言時に若年層の自殺が増加
前回の緊急事態宣言時には、その影響からか、20歳未満の自殺者が増加した。特に2020年8月の「学生・生徒等」の自殺者は100人を超えた。全国が一斉休校となり、不安が高まったり、生活のリズムが崩れたりした背景もあった。今回は一斉休校の要請こそないものの、不要不急の外出自粛や飲食店の時短、テレワークの強化などにより、若年層や女性のメンタルヘルス悪化が懸念される。
昨年の宣言は4月7日で、対象は7都府県だった。4月16日には対象を全国に拡大。期間も5月31日まで延長した。3月2日からの全校一斉休校の措置と緊急事態宣言による外出自粛によって、年度末から年度始めに学校に行けず、卒業式や入学式が十分に行えなかった。6月1日から休校措置が解け、新しい学校やクラスでの学びや部活が始まったが、部活動の大会も中止が相次いだ。
新型コロナウイルスの心理面への影響
「新型コロナウイルス感染症に係るメンタルヘルスに関する調査」(厚生労働省、調査期間2020年9月11日~14日、15歳以上、10981件回収)によると、「何らかの不安等を感じた」人が半数程度いた。特に2020年4~5月は63.9%と不安を感じた人の割合がもっとも高く、中でも女性は「そわそわ、落ち着かなかった」と34.2%が回答。「神経過敏に感じた」のが30.7%で、いずれも男性よりも比率が高かった。
こうした生活の変化は、自殺者の動向にも変化をもたらした。警察庁の公表分をまとめた厚生労働省の自殺対策推進室の資料によると、男女ともに2020年10月が最多で、男性の自殺者は1320人、女性の自殺者は879人だった。20歳未満の自殺死亡率(10万人あたりの自殺者)はもともと上昇傾向にあった。2019年は3.1だったので、1989年の1.6と比べて倍になっている。2020年はさらに上昇していると思われる。