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中国では白のものも黒くなる

 そして中川が最も懸念するのが探す場所が地方であり、必然的に宿泊先が地方都市になるということだ。

「例えば黒龍江省でも、ハルピンのような大都会や観光都市なら、町の中をウロウロしていても観光客と思われ問題はない。しかし、目的地はロシア国境に近い、中国の農村部や地方都市ですよ。日本人などほとんど見かけない所。人を探すといっても、それを当地の公安警察が理解するかどうかだ」

©️iStock.com

 中川によれば、地方のホテルでは、朝10時までに、公安警察が、その日、どこの誰が泊まるか必ずチェックするのだという。夜遅く、急に泊まった客も、その都度、ホテルが公安に連絡する。

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「忘れてはいけないのは中国が共産党一党独裁の国だということ。改革開放が進み、どこを観光して歩いても自由というのは日本人の大きな誤解です。肝心のところは共産党がしっかりとコントロールしている。国家転覆を図ろうとしたり、地方や行政を混乱させようとしている不穏分子、覚せい剤、武器売買商人などに対しては特に厳しい。かつて、日本のある新聞社の特派員が許可を得ないでデモの取材をして拘束されたことがあるけれど、釈放されるのに大変な手間と時間がかかった。まして、田村さんは今回は観光ビザしか持っていないし、30万円という大金を持っている。挙動不審と見られて拘束されたら、スパイや麻薬密売人に仕立てあげられることだって考えられる。中国では白のものも黒くなるのですよ」

 10年起こった尖閣諸島騒動後の建設会社フジタ社員4人の拘束のような事態が起こる可能性がある、と当時警告されていたわけだ。

中国人「毒婦」の告白

田村 建雄

文藝春秋

2011年4月20日 発売