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SNSが犯罪につながる危険性

 今後、このような「英雄」が外の世界に飛び出して、不可解な事件を起こす可能性は常にあると、僕などは危惧も含めた想定をしている。

 ニコニコ生放送、ツイキャス、FC2、アフリカTVなどにおいても、未成年がハマってしまい、毎日数10時間くらいの放送をしている場合がある。それでも現実世界と両立して生活を送れていれば良いが、SNS一色の生活になると例えば、視聴者にウケようとして、非常識極まりない配信をする少年少女が出てくる。例えば家に火を付けたり、軽犯罪を犯して書類送検されるケースも不定期に起こっている。

 YouTubeに投稿して再生回数の多さで悦に入っていた、万引き動画やスーパーの菓子に爪楊枝を混入する動画を投稿した19歳の「爪楊枝男」(2015年1月逮捕)が出現。第二、第三の「爪楊枝男」が出てくる可能性は大いにある。彼らこそSNS依存症の典型であり、脳内で作り上げた「ネットの国」の住民だ。

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SNSそのものに罪はない

 外の世界である人間の僕の意見としては、親の育て方には責任があるが、SNSには罪はない。フグに毒があるように、美味しいものにはもしかしたらリスクが伴うかもしれないといった危惧を、大人がすべきである。

©iStock.com

 特に前述した、動画サイトの中で、家に火を付けたり、スーパーのスナックに異物を混入しているような「爪楊枝男」は「bk(バカ→baka→bkというネットスラング)」であり、それを煽っている人間も「bk」の一言で済ましたい。ここで「バカ」と素直に言わないのは、彼らが「ネットの国」に住んでいるからで、その土壌での言語に変換するのが流儀であろう。

 ただし、自分が「bk」だと自覚している人間もいる。僕の知り合いにもそういう青年がいた。一日中、ネットにハマっていた自分を「kz(クズ→kuzu→kzというネットスラング)」だと自称していたが、その後、就職に成功し無事サラリーマンになった。それでも趣味としてのネット配信は続けており、確かに以前ほど過激な内容ではないが、彼は今が幸せだと語っている。

生身の暴力論 (講談社現代新書)

久田将義

講談社

2015年9月20日 発売