SNSの普及に伴い、自分たちが犯した罪をインターネットに投稿する人が目立つようになった。店舗の冷蔵庫内に寝そべる客、食材をゴミ箱に投げ入れる従業員、複数人で店員を恫喝する男女……。そうした画像や動画が記憶に新しい方も多いだろう。

 しかし、なぜ自らの愚行をインターネットに晒してしまうのか。「馬鹿」の一言で片づけるのは早計かもしれない。ここでは、編集者の久田将義氏による著書『生身の暴力論』を引用。実際の事件をもとに不可解な行動を起こす本当の理由を推察する。(全2回の2回目/前編 を読む)

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「バカッター」たちの実例

 たまに、現役のヤクザや有名暴走族のOBらがネット上に書き込みをしている。後々トラブルにならないよう、言葉遣いには気をつけなければならない。ただ、僕ごときが言うのは大変おこがましいのは分かっているのだが、ある程度取材を続けていると、書き込み内容だけでも何となく、「この人は本物」「この人はフェイク」と見分けがつくものだ。

 さらには、ツイッターやブログなどで、ふと書き込んだ内容が言葉足らずで、読んだ人を怒らせてしまう時がある。そんな、迂闊な書き込みがきっかけで罵倒の応酬になり、感情が昂り、リアルで会うまでに発展する。リアルに会っても、話し合いだけで済めばそれはそれで結構だ。暴力沙汰に発展するよりは。

 リアルに凸するのは良いが、相手の怒りや感情がどの程度のものか判断する事。その見極めこそが暴力を回避する。

©iStock.com

 また最近では、次のようなケースが増えつつある。2014年にはこんな事件が起きた。

 コンビニ店長に土下座、新たに女2人を逮捕 39歳アルバイト従業員と10代娘

 大阪府茨木市のコンビニエンスストアで、店長らが客に言いがかりをつけられ、土下座させられる様子がインターネットの動画サイトに投稿された事件で、府警茨木署は11日、因縁をつけて商品を脅し取ったとする恐喝容疑で、新たに府内のアルバイト従業員の女(39)と娘の10代の少女を逮捕した。この事件での逮捕者は4人となった。

 逮捕容疑は8日午前11時半ごろ、茨木市内のコンビニ「ファミリーマート茨木横江店」で、男性店長らに「うちの若い衆が店に車で突っ込む言うとんぞ」と脅迫。さらに「謝るの普通は手ぶらちゃうわな」と要求し、たばこ6カートン(販売価格計2万6700円)を脅し取ったとしている(産経WEST/2014年9月11日)

 既にこの件は風化しつつあるが、れっきとした「刑事事件」である。YouTubeやニコニコ動画等のサイトには、事件の模様の動画がアップされている。動画は加害者側が撮影したものだ。

 前年にも、これと似たような事件が北海道で起きている。