暴力は身近にある
さて、問題は「シーン2」である。
ここでは、暴行現場にいなかった第三者が登場してくる。逮捕された46歳(当時)の会社員である。
「シーン2」では既に、キレていた店員が大人しく土下座をしており、店のオーナーである中年男性、そしてこのコンビニエンスストア本部の人間、三人に対して計四人の男女の加害者がクレーム─ではなく既に恫喝といった状況だ─をつけている。
なぜ、あれほど抵抗していた店員が土下座にまで至ったのか。本部の人間も、加害者側の恫喝にうなずくだけで、店側のフォローはない。
これには、違和感を覚えた。加害者側は前例である「しまむら土下座強要事件」を知らなかったのだろうか。前例を知っていたら、強要罪、脅迫罪、恐喝罪なども含めて、複数の刑事罰が適用されるであろう事は想像に難くない。
コンビニにいた男女は、喧嘩腰である。今にも殴りかからんばかりの勢いで怒鳴る。土下座のまま平謝りの店側。そこで仲裁役よろしく、貫録たっぷりに口を挟むのが46歳男性である。
「俺は関係ないが」と言いつつ、まず「携帯が水に濡れたので新機種に買い替える金を出せ」と言ったのち、土下座謝罪を続ける店員、オーナー、本部社員に向かって「口だけの謝罪で済むか」と、タバコを計6カートン要求する。
第三者が介入してきた理由
現場にいなかった人間が、この場を仕切るケースは二つ考えられる。一つはこの男性が警察官の場合。むろん、これは論外だ。もう一つは、この男性が相手に恐怖を抱かせる背景の存在をアピールした場合。一部ではこの男性が組織の名前を出したのではないか、という声も囁かれている。
であるならば、店側が土下座した理由も納得できる。すなわち土下座は「何らかの恐怖」によって強要されたものである。ネット上では逮捕された男性と思われる、刺青が入った人物の写真が流出した。これを見ると、普通の会社員でないようには映る。