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土下座させた動画をネットに投稿…自らの罪を世界中に晒す「バカッター」が後を絶たない理由とは

『生身の暴力論』より #2

2021/01/26
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「しょうもない罪」

 もし彼がそのような立場の人間なら、タバコ6カートンを恐喝して逮捕されるとは、大きなツケを払ったものだと思う。暴力団対策法、暴力団排除条例等によって締め付けが厳しくなった現在、たまに無銭飲食や、今回のような「しょうもない罪」による逮捕を耳にする。

 暴力は、身近にある。この動画を見て、改めてそう思った。暴力動画の前例が多くなればなるほど、警察もこういった動画サイトやSNSに注目するようになるだろう。取り締まりがきっちりと行われる事を期待する。

 深夜のコンビニでは、このような事態が起き得る。たまにだが女性店員が深夜のレジに入っている光景を見て、僕は心配になる。いくら監視カメラがついているとはいえ、店側においては、従業員には強要罪、脅迫罪に関する意識を持ってもらい、何かしらの恐怖を感じたらすぐ、110番をするというマニュアルを徹底させていただきたいものである。

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暴力に遭遇したとき私たちにできること

 そこでは抵抗しなくて良い。土下座しても良い。日本は法治国家であり、先進国だ。法に任せて暴力を回避すべきだ。コンビニ、ファーストフード、スーパーマーケット等、24時間営業している店舗が増え、よりいっそう、こうしたトラブルに巻き込まれる可能性が高くなった。

©iStock.com

 土下座、もしくはそれに準じた行為を強要された場合、また相手が暴力団であるような事を匂わせた場合、ひとまずその通りにした方がよい。その代わり、携帯に録音機能があれば、それで録音する。そんな余裕がないほど恐怖を覚えたら、その場は形だけでも謝罪し、帰宅してからメモ書きで良いから、その日あった事実をなるだけ記憶が鮮明なうちに、書き留める。些細な事柄もメモしておく事が必要だ。そのメモ書きを清書して、最寄りの警察署の生活安全課に被害届を出しに行く。知り合いに弁護士がいれば、弁護士に提出するのも良い。

生身の暴力論 (講談社現代新書)

久田将義

講談社

2015年9月20日 発売

土下座させた動画をネットに投稿…自らの罪を世界中に晒す「バカッター」が後を絶たない理由とは

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