1月20日、第164回芥川龍之介賞と直木三十五賞(いずれも日本文学振興会主催)の選考会が東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は宇佐見りんさん(21)の『推し、燃ゆ』(文藝秋季号)、直木賞は西條奈加さん(56)の『心淋し川』(集英社)が選ばれた。

宇佐見りんさん(左)と西條奈加さん(右) ©宇壽山貴久子/©冨永智子

ともに初ノミネートで受賞

 宇佐見りんさんは、1999年5月16日静岡県沼津市生まれの21歳。2019年「かか」で第56回文藝賞を受賞、同作を単行本化した『かか』でデビューしていた。芥川賞は初のノミネートだった。

 西條奈加さんは、1964年11月9日北海道中川郡池田町生まれの56歳。東京英語専門学校卒。2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビューしている。直木賞は初のノミネートだった。

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写真提供:日本文学振興会

 芥川龍之介賞・直木三十五賞は、菊池寛(明治21年~昭和23年)が昭和10年に制定したもの。芥川賞は雑誌(同人雑誌を含む)に発表された、新進作家による純文学の中・短編作品、直木賞は新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)のなかから、最も優秀な作品にそれぞれ贈られる。正賞は懐中時計、副賞は100万円。

 現在の選考委員は、小川洋子・奥泉光・川上弘美・島田雅彦・平野啓一郎・堀江敏幸・松浦寿輝・山田詠美・吉田修一の各氏(芥川龍之介賞)、浅田次郎・伊集院静・角田光代・北方謙三・桐野夏生・髙村薫・林真理子・三浦しをん・宮部みゆきの各氏(直木三十五賞)が務めている。

■第164回芥川龍之介賞 候補作(掲載誌)※作者五十音順・敬称略

宇佐見りん「推し、燃ゆ」(文藝秋季号)
尾崎世界観「母影」(新潮12月号)
木崎みつ子「コンジュジ」(すばる11月号)
砂川文次「小隊」(文學界9月号)
乗代雄介「旅する練習」(群像12月号)

■第164回直木三十五賞 候補作(出版社)※作者五十音順・敬称略

芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』(文藝春秋)
伊与原新『八月の銀の雪』(新潮社)
加藤シゲアキ『オルタネート』(新潮社)
西條奈加『心淋し川』(集英社)
坂上泉『インビジブル』(文藝春秋)
長浦京『アンダードッグス』(KADOKAWA)

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