イラスト 中村紋子

 朝日新聞社とベルマーク財団によるオーサー・ビジット。本の著者が小中高校を訪れて授業をするという取組みで、ボクもこれまで何回も参加。今年も楽しみにしていたら、山口県の中学校の生徒会から、「愛」について授業してほしいという熱烈なラブコールをいただいたんです。

 たとえば、「付き合っている人たちが本当に好き合っているか疑問です」「同性を好きになるってどんな感じ?」など、普段先生には聞けない「恋」や「愛」にまつわるあれこれを聞きたいっていうの。当日、学校に到着したボクの目に飛び込んできたのは「WE ♥ 尾木ママ」と書かれた大きな横断幕。こんなの初めてヨ!

 最近の調査によると、恋愛に積極的な若者は親の世代に比べ二分の一くらいに減っているというデータも。「恋愛に興味がない」男女も少なからずいて、“草食系”ならぬ“絶食系”なんて呼ばれてる。今回、生徒たちに予め恋愛に関するアンケートを実施。データを集計するとやはり必ずしも恋愛の優先度は高くない。でも、自由記述をみるとすごく一生懸命答えてくれていて、大人が思っているよりよっぽど「恋」や「愛」について本質を捉えていた。感心したワ。

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 たとえば、「あなたは今、恋人がいればいいなあと思いますか」という質問に、ある子は「いないけれど欲しい」と答え、その理由として「赤の他人でも気持ちを分け合え、ちゃんと話をし合える人がいるといいなと思うから」と書いていた。「恋とはなんだと思いますか」という問いには「落ちるもの」。「愛」を「家族のように相手のことを理解し、短所も長所も認めた上でその人のことを大切に想うこと」と定義している子もいたの。スゴイでしょ?

 今、政治家や芸能界の方々の「恋」が世を賑わしているけれど、我々大人のほうこそ「愛」について、もう一度、熟考するべきかもネ。