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クレーム専門の即席コールセンター

 そういえば最近は「短期のクレーム専門のコールセンター」という仕事もあるそうだ。企業で不祥事が起こった時や、消費者に謝罪の連絡をしなければならない時、日雇いのアルバイトなどに登録する人たちを集めて即席のコールセンターを作る。

 電話を受ける前に行う研修では、

「お客さまから社員か? と聞かれたら社員と名乗ってください」

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 とオペレーターに教えて、ひたすらクレームの謝罪だけをさせるそうなのだ。

 クレームを受ける窓口に立たされている人は本当に非を負うべき人なんだろうか。コールセンターのあるべき姿って、本当にこれでいいのかな……。

 泣きながらコールセンターを出ていくオペレーターさんを見送るたびに、私はそう疑問を抱かずにはいられなかった。

同期が倒れた日

 とうとう、この日が来てしまった。

「ごめんねN本ちゃん、せっかく仲良くしてくれたのに……。でももう嫌なんだ、お客さまにありがとうって言ってもらえない仕事だしさ」

 やつれたなぁ……。彼女を見て、そう思った。

 私たちが督促の仕事に配属されてちょうど1年たったころ。コールセンターで唯一残っていた女子の同期、A子ちゃんが会社を辞めることになった。A子ちゃんは私がクレジットカード部門に異動になった後も、キャッシング専門の督促を担当していた。

 彼女は私よりずっと仕事ができた。ルックスだってとってもかわいかった。

 入社してすぐ、いきなり高い成績を上げて朝礼で褒められていた。新入社員歓迎会で彼女が自己紹介をしたとたん、男性社員から歓声が起こった(ちなみに私の時は起こりませんでしたよ、そんなもん!)。その時の彼女のはにかみながらも嬉しそうな顔を覚えている。

 いつも、回収成績がダントツドベで、怒鳴られまくっていた私は、心底彼女をうらやましいと思っていたし、憧れていた。彼女のようになりたいと願っていた。

©iStock.com

 しかし、彼女は、督促の仕事のせいでいつしか体調を崩し、しばらく休職した後、結局退職することになってしまったのだった。

「A子ちゃんみたいによくできる人でも、やっぱり仕事辛かったんだね……」

「うん、仕事なのにお客さまに嫌われるのが耐えられなくて」

 そりゃそうだろう、たいていの女の子は、相手に褒められてちやほやしてもらえば、やっぱり嬉しいものだ。