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「そもそもの話ですが、韓国社会は民主化時代が到来して約30年が経ち、基本的には弱者(持たざる者)を正義と見る社会的潮流が出来てしまっている。個人と国家が争った場合、韓国の公判では個人側を重視するという姿勢が定着したのです。

 そういった社会的流れが、人権派弁護士出身の文在寅大統領の誕生にも繋がっているのですが、文大統領の口ぐせは『まず人間だ』です。そこから司法改革と称して『国家の意思を重視する司法ではダメ』という思想の持ち主を司法の世界に入れていった。その結果、最高裁の判事の構成も左翼、進歩系が多数になりました。そんな状況ですから、さらに反日感情が加わった日本絡みの戦後補償裁判では、文在寅政権の思惑がどうであろうと、日本に厳しい判決が出るのです」

続々辞任する韓国のエリート判事たち

 韓国の左派の力が強くなった司法の世界は、いま前例のない混乱が続いている。

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 韓国のエリート判事約80人が相次ぎ辞表を提出したと報じたのは、韓国3大紙の1つ、「朝鮮日報」(1月21日付)だった。〈2月に予定される裁判所の定期人事異動を控え、20日までに辞表を提出した判事が80人を超えた〉というのだ。

 裁判所長と高裁の部長判事は134人いるが、その中の20人も含まれているという。判事の退職の理由について、同紙は次のように説明している。

〈「頑張っても裁判所長になれる可能性が低下した」というものだ。(略)金命洙大法院長が2019年に「裁判所長推薦制」を導入したことで状況が変わった。該当する裁判所の判事が投票で裁判所長候補1~3人を推薦し、大法院長がうち1人を選ぶ方式だ〉

文在寅大統領に指名された金命洙・大法院長(中央)。日本でいうと最高裁長官にあたる ©AFLO

司法を牛耳る「ウリ法研究会」とは?

 さらに、裁判所の要職を、左派の「ウリ法研究会」出身の判事らが独占していることも問題だと指摘している。

〈実際に大法院長と大法官13人のうち6人が進歩傾向の「ウリ法研究会」と民主社会のための弁護士会(民弁)の出身だ。金命洙大法院長は就任後、最初の定期人事異動で全国最大の裁判所であるソウル中央地裁の所長と法院行政処の人事・企画審議官(判事)の大半にウリ法研究会またはその後身とされる国際人権法研究会の判事を充てた。金大法院長は両研究会の会長を歴任した人物だ〉

 ソウル在住の韓国人ジャーナリストが語る。

「『ウリ法研究会』所属の判事たちは、基本的に左派的な思想を持っている。慰安婦問題についても、1965年に締結された韓日基本条約に、慰安婦問題は含まれてないとの認識です。 日本では、『文大統領が司法もコントロールしているのではないか』と考える人もいるでしょうが、さすがにそれは無理。今回の慰安婦訴訟や徴用工訴訟で、文大統領に出来ることがあるとすれば、今後続く判決を先延ばしするように働きかけることくらいです」