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「経験できてラッキーだった」“意識高い系大学生”が風俗店に女性を斡旋する半グレ集団に参加したワケ

『半グレ ―反社会勢力の実像―』より #2

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事件のその後

 今回の事件では、グループが1年間で、のべ262人の女性を風俗店に斡旋していたことが明らかになったが、摘発に至ったのは、4人に対する被害だけだった。誰にも被害を打ち明けられず、1人で苦しんでいる女性はまだまだいるだろう。

 被害女性のB子さんは訴える。

「私は今なお苦しんでいるのに、メンバーがなぜ実刑を受けず、のうのうと生きていられるのか。絶対に許せない」

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大手企業に就職した元・半グレ

 今回摘発されなかったメンバーは、60人あまりにのぼる。自己研鑽や“成長”などを求めてグループに入り、女性を陥れた男たちは今どうしているのか。

 ある男は、事件の舞台となった衹園で会員制のバーを営業するなど、変わらず夜の街で生きていた。

 一方で、すでに大学を卒業し、会社勤めをしている者もいた。半グレのグループに属していた過去など、微塵も感じさせず、何食わぬ顔で生きているのかもしれない。

©iStock.com

 本書の執筆にあたり、久しぶりに元メンバーAと連絡を取った。

 彼は電話口で、会社員として忙しい毎日を送っていると、明るく近況を語った。誰もが知るような大手の企業が、新たな職場だった。

 半グレの下で「成長した」というAは、すっかり表の世界の住人になっていた。

 半グレやそこに関わる人々は、一般の人と何ひとつ違わない顔をして、すでに私たちのまわりに存在している。それはもしかしたら、あなたの友人かもしれないし、恋人かもしれないし、お子さんかもしれない。

 NHKスペシャル取材班による著書『半グレ 反社会勢力の実像』では、「スパイラル」事件の被害者にも詳細な取材を行っている。事件で負った心の傷が癒えぬ中、取材班に赤裸々に語ってくれた内容に胸を打たれる。また同書では、他にも半グレによって犯罪に手を染めてしまった若者や、現役リーダー、元メンバーなどに取材を行い、当事者の生証言で半グレの実態解明に挑んでいる。

半グレ ―反社会勢力の実像― (新潮新書)

NHKスペシャル取材班

新潮社

2020年12月17日 発売

「経験できてラッキーだった」“意識高い系大学生”が風俗店に女性を斡旋する半グレ集団に参加したワケ

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