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ホテルには“下着にタイツ姿”の30代女性が… 中国人妻の故郷を訪ねた男性の“悪夢の始まり”

『中国人「毒婦」の告白』#26

2021/02/04
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強盗にあわなかっただけでも幸運だと思え

 高速道路を降り街中をすぎたあたりから始まり、延々とどこまでも続いている。私も馬も、そして運転手も最初のうちこそ「ひどい道路だね。でもダイエットにはいいかもしれない」と冗談を言っていたが、もしかしたら五常まで200キロの道路が、すべてこの状態ではないかと疑い始めた頃には、すでに引き返すには遅すぎ、誰もが声を失っていた。

 私は、後部座席の上にある手すりに摑まり、尻に伝わってくる激しい振動と闘いながら、車酔いしないよう必死に耐えるしかなかった。

 地元の人は、こうした道路事情をよく知っているのだろう。擦れ違う車といえば、工事用トラック、短距離移動のバイク、さらには農業用の小ぶりのトラクターのみで、およそ一般の運搬用トラックや乗用車は皆無。多分、急がば回れで、多くの一般車両は高速道路を走っているのだろう。

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 北京、上海、そしてハルピンでも、大都会では次々と近代的な高層ビルが立つ。高速道路網の発達も日本に比べても目を見張らせるものがある。それもこれも全て北京オリンピック、上海万博を目指したものだ。一方で、この黒龍江省の一般生活道路のように、何年も修復されないまま放置され、住民に苦渋を強いているものもたくさんある。私は、これこそが、経済沸騰・中国の現実であり、矛盾や格差の象徴ではないかと思った。

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 なにしろ、外国人観光客の通訳兼案内を生業とし、あちこち飛び廻っている馬ですら、「こんなひどい状態とは知らなかった」と漏らすほどなのだ。

 しかも、林を抜け峠を越えてくねくねと続くワイルド道路には、夜が更けるに従い霧まで湧き出し、数メートル先すら見えなくなってしまった。

 かくして、午後8時前後到着予定の五常市街に入ったのは、深夜11時近くになっていた。やっと着いたという安堵感もあり車窓を大きく開け放つと、香辛料の香りと埃がないまぜになったひんやりとした空気が鼻腔を突く。

 後に、この体験談を北京にいた中川に話すと、彼には「そんな車も人家も少ない山の中を走って、よく強盗にあわなかった。それだけでも幸運だと思え」と笑われたものだ。