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中学当時のあだ名は“ドブ”

「私が『アラサーちゃん』を描き始めたのって、2011年だから10年前なんです。恋愛やセックスにおける男女のズレや、当たり前にされるセクハラへのイラつきみたいなネタに、その時も『共感する』って言われて、今も『共感する』って言われるのは、私は結構辛いものがあって。連載始めた頃に高校生だった子がアラサーになって、『改めて共感します』とか言われると、“いやいや! この(共感してしまう)構造保つなよ!”みたいな感じで。それって結構絶望する。『こんな時代があったんだ。へー、良く分からないけど』ってなってて欲しいんですけど……。

 ……って考えると、AV業界も同じで『今は色々と健全になってきましたよ』とか、『アイドル女優さんいますよ』とか言ったところで、それって別に昔から一握りのアイドルっぽい女優さんっていたわけなんですよ。そういう話を信じて『アイドル女優に私もなるぞ!』ってAV出演した多くの人は、数万円のギャラをもらって撮影して終了。結局今もAV業界の構造って変わってないなって思ったんです。そのあたりについて、現役引退から時間が経過したことで、AV業界を冷静に客観視できるようになったから、『AV女優ちゃん』を描こうと思いました。

 よくAV女優同士で話すんですけど、学生時代からモテて、特に家庭環境に問題なく、自尊心も高い人間はAVなんか出ないんです。大体みんな、学生時代はオタクだったりするんです。昔からギャルで可愛くて、スクールカーストが高かった、なんて人はいないですよ」

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©末永裕樹/文藝春秋

 容姿端麗な峰さんだが、中学当時のあだ名は“ドブ”。高校時代には経験人数を増やすことをステータスと感じ、処女であることを恥ずかしいと思っていた。“ヤリマンっぽい見た目がモテの王道だった”という学生時代のエピソードも、作品には描かれている。

 高校を卒業して上京し、その後、AV出演を決意した理由とは何だったのだろう。当時の心境を語ってもらった。

 

「私、(AV女優になるにあたって)特別腹はくくってないんですよ。むしろもう(AVに)出ないって腹をくくらないと、引退ということにはならなかった。何も考えていない状態だと出続けることになるんです。だから、たまたまスカウトされて、最初に出演を決めた時は何も考えずにいたっていう感じです」

『AV女優ちゃん』では、デビュー作品を撮り終えた後、「これで私の今後の人生に結婚とか出産とか永遠に選択肢からなくなるわけで」というセリフがある。出演に対しての後悔とも捉えられるが、峰さんはどのような思いだったのだろうか。