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2021/02/01

「AV出演経験がある女は後悔している」という“物語”

「ワンナイトラブとかって、したあとに“やっちゃった”ってなるじゃないですか。する前に、『妊娠の可能性が~』とか『子宮頸がんの可能性が~』とか思わないですよね。“やっちゃった”の規模がでかかっただけです。

 よく思うんですけど、私がもし胸が大きくなかったら、AVには出てなかったと思うんですよ。なぜかというと、胸が小さいとギャラが安かったから。ギャラが安いのに出る価値はないなと思って出なかっただろうし、スカウトの人もそんなに熱心に口説かなかったと思う。そう考えると、むしろ胸が小さかったほうが良かったのかなとも思うんですけどね。

©末永裕樹/文藝春秋

 非セックスワーカーの女性に私のおっぱいがついていたら、あなたはセックスワーカーでなくいられたのか? 明確な価値がついてカネがもらえるのに? って思うんですよ。売らなかったら彼氏くらいにしか見せないし……。それはそれで悲しいというか、“正しく評価”されてないとも思うんです」

 AV女優としてデビューすることに対して大きなデメリットを感じなかったのは何故なのだろうか。

「デメリットってその時点(AVデビュー当時)ではぼんやりしているというか、わかりづらいんです。クスリを打たれちゃうんじゃないか、みたいな印象があっても、業界の人に会うと、『いやいやそんなことしないよ。ガリガリになって女優さんの価値が下がるから、そんな無駄なことしないよ』って言われて。確かにそうだなって思ったんです。

 今までフィクションの世界だったものが、現実の一部の人と会ってみて、メリット・デメリットを説明されて……。そうすると『一本出たらこれだけギャラがもらえる』『いいマンションに住める』『かわいいトイプードルも飼える』みたいなメリットだけ輪郭がはっきりして、デメリットはぼやぼやして……。そしたらそんなに(デメリットを)考えなくなるんじゃないでしょうかね」

 

 出演してみないと分からないメリット・デメリットがあるという峰さんだが、現在までデメリットをあまり感じていないという。

「『AV出演経験がある女は、日々デメリットを感じて後悔している』というのも、男性が興奮する“物語”なんですよね。給料の安い企業に就職した人にも、モラハラ気味な男と結婚した人にも、どんな選択にもデメリットはついてまわるし、時にはそれを強く感じるときもあるかもしれないけど、毎日ずっと後悔しているわけではないですよね。私にとってはそれがたまたまAV出演だったという感じです」

 昨年4月、峰さんは結婚と出産をSNSで報告。出演時の「今後の人生に結婚とか出産とか永遠に選択肢からなくなる」という心境から変化した理由は何だったのだろうか。後半では、峰さんの考え方に触れながら、最新作『AV女優ちゃん』制作時のエピソードを聞く。

後編に続く)

AV女優ちゃん1

峰 なゆか

扶桑社

2020年12月19日 発売

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