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都知事任期はあと3年しかない

池上 政治の世界も邪悪に満ちているわけですね。

小池 でも有権者はちゃんと見ていると信じたいですね。そのためにはしっかりとした情報公開が必要だと思います。これだけ地球が狭くなって世界の様々な出来事がすぐに影響しあっていく時代です。いま一番日本の政治に必要なのは、情報公開と政策決定のスピード感だと思っているんです。池上さんは団塊の世代ですか?

池上 いえ、団塊の世代の一つ下です。

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小池 昭和何年生まれですか?

池上 昭和25(1950)年です。

小池 オリンピックの5年後、2025年には団塊の世代(1947〜49年生まれの第一次ベビーブーム世代)が後期高齢者(75歳以上)に入りますね。東京も人口減に転じて高齢化が急速に進みます。待機児童問題や待機老人問題などを放置して、現状に「いい湯だな」と浸かっていたら一気に茹でガエルになってしまう、厳しい時代が来ます。どうすれば持続的な首都であることができるのかを考える必要があるんです。

池上 そうすると、都議会選で勝ったと浮かれている場合ではない。あと3年しかないことになりますね。

小池 航空機の座席に、飛行機がいまどこを飛んでいるか世界地図上に指し示してくれるナビがありますよね。私、あれが大好きなんです。早く寝ればいいのにじーっと見つめたりして。

池上 ここまで来た、と。

©三宅史郎/文藝春秋

小池 そうなんです。都議会選のときの応援演説も、1日に12、3か所回る日々が続きましたが、車の座席に数字を大書きしたポストイットを貼っておきます。あと9か所、あと8か所、7か所と演説が終わるたびに剥がしていくんですね。「まだ7か所もあるのか」と思わずに、あと7か所しかないと、自分に言い聞かせながら。たいてい、逆算で考えます。悔いのない路線をこの3年間で引いておきたい。

池上 全部目標を定めて、そこから戦略を立ててやってきているわけですね。ということはやっぱり3年後の目標も知りたくなりますよね。

小池 ないない。まだ描いていません。

池上 とはいえ先ほどのお話からも、小池さんの目は世界を見ている。2020年の東京オリンピックの時は何をしています?

小池 一つだけいえることは、選手では出ないということです(笑)。

池上 何を言っているんですか(笑)。開会式の会場に居ますかね。それとも……。

小池 応援していますよ。

池上 では、2025年には小池さんはどこに居るんでしょうか。

小池 それは、「インシャラー(神の御心のままに)」。

池上 有難うございました(笑)。

おい、マジか。池上彰の「ニュースを疑え!」

池上 彰(著)

文藝春秋
2017年9月14日 発売

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