パソコン作業やタブレットでの動画視聴、スマホでの情報収集など、目を酷使し続けている現在。「今まで以上に目が疲れるようになった」、「これまでのメガネが合わなくなった」と感じている人も多いのではないだろうか。もしかしたら、せっかく作ったメガネが疲れの原因になっていることも否めない。

 では、どうしたら自分に合うメガネを作ることができるのだろうか。メガネを作る際に押さえておきたいポイントについて、メガネレンズメーカー、ニコン・エシロールの直営店「ニコンメガネ」の取締役社長、加藤宏太郎さんに話を訊いた。

レンズを決める際の注意点とは?

——メガネを買いに行くとき、フレームはある程度欲しいもののイメージを持っていても、レンズについては言われるがままという人も多いと思います。客側からお店へ伝えるべきことがあれば教えてください。

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「ニコンメガネ」の取締役社長、加藤宏太郎さん

加藤 まずメガネを買おうと思った時点で、その人は見え方に何かしらの不具合を感じているわけですよね。「見えづらい=ピントが合わない」ということなので、まずは“どの距離のピントが合っていないのか”を自覚していただくことが大切です。

——距離ですか。

加藤 はい。そもそもメガネの役割は、“ぼやけたピントを合わせること”。ピントを合わせる補助をするものなんですね。ですから、ぼやけるのがパソコンの画面なのか、遠くの景色なのか、日常生活において見えづらくて困っている場面の距離を教えていただきたいんです。

視力で考えず「見たい距離」に合わせて作る

——場面など想定せず、「1.5ぐらい見えれば」などと視力で考えてしまいがちです。

加藤 たしかに、健康診断で行なわれる視力検査では、視力1.5など遠くが見えたら問題なしとなり、いわゆる“目がいい人”とされます。ですが、40代を超えた大人が見えづらくて困るのは、パソコンなどの比較的近い距離ですよね? ところが、パソコンの距離が見えづらいかどうかを調べる機会はなかなかないわけです。

「目がいい」とされてきた人は、メガネがいらないと考えているから、その状態を放置してしまいます。そうした人ほど近くを見るときには目の筋肉を使いますから、現代社会においてはつらい目だと言えますね。

——子どもの頃の視力検査の印象が強いので、近視の人がメガネを作るときも「遠くが見えるものを」と思ってしまいがちです。

加藤 見たい距離に合わせて作る。それは、近視でも老眼でも同じです。若い頃は調節力があり、「明視域」といってピントを合わせられる範囲が広いんですね。ですから、近視用のメガネ1本で近くから遠くまで見えます。それが、年齢を重ねると明視域は狭くなり、ある一定の距離しか見えなくなるんです。

 ですから、ご自身が見えづらい距離はどこなのか。できれば何cmなのか、お店にくる前に計測してきてほしいです。その距離は、1か所とは限りません。「運転時に、遠くの景色もカーナビも見えづらくなってきた」ということもあるでしょう。