在宅勤務によりパソコンやタブレットに向かう時間が増えたことで、目の見え方に不調を感じている人も少なくないだろう。手元が見えにくいなら、それは老眼の始まりかもしれない。今や100円ショップでも老眼鏡が手に入るが、果たして使用に問題はないのだろうか?
そこで、老眼を自覚したら知っておきたいことについて、今年で創業134年目を迎える眼鏡店「金鳳堂」京橋本店、店長の内田和芳さんに話を訊いた。
老眼鏡を使い始めるタイミングは?
――一般的に、40代から老眼を自覚する人が多いと言われています。実際に何がどれくらい見えづらくなったら、老眼鏡の使用を検討すべきなのか。そのタイミングを教えてください。
内田 現在ですと、スマホの距離がひとつの目安になります。スマホの画面にピントが合いにくいと感じたら、検討を始めても良いでしょう。これまでは新聞を読んだり読書をしたりする際に自覚する方が多かったのですが、スマホは平均で25~30cmとそれらよりも近い位置で見ています。老眼は近い距離ほど見えにくさを感じやすいですから、これまでよりも自覚するのが早くなっていると言えます。
――いわゆる、「スマホ老眼」と言われている症状ですね。
内田 そうですね。とくにこれまでメガネを必要としなかった、“遠くが見えやすい人”ほど近くが見えづらく感じるタイミングが早いです。
100円ショップの老眼鏡は大丈夫?
――そうした、これまで眼鏡店と縁遠かった人は、とりあえず100円ショップや雑貨店などにある出来合いの老眼鏡で対応する方が多い印象です。では、眼鏡店で作る老眼鏡と検査無しで買える既製老眼鏡には、どのような違いがあるのでしょうか。
内田 その違いは大きく3つあり、見え方にも影響を及ぼします。
ひとつは、度数です。パッケージなどに書かれている+1.0、+2.0などの数字。これが度数ですが、既製老眼鏡は左右のレンズに同じ度数が入っています。ですが、実際にお客様に必要な度数を測定すると、左右が同じという方は1割にも満たない程度です。
――左右の度数に大きく差がある人ほど、見えづらさを感じそうですね。
内田 そうした方が既製老眼鏡を使うと、どちらか片方の目で見るクセがついてしまうこともあるので、あまりオススメできません。ですから、老眼を自覚したら、その見えづらさの原因が老眼以外にある可能性も考慮して、まずは眼科を受診されると良いでしょう。そして眼科や眼鏡店で測定をして、現在見えづらさを感じている距離に対して必要な度数を導き出すことが大切です。その際に乱視などが見つかればそれも加味したうえでメガネを作れるので、断然快適に使っていただけます。