――まずは、自分に必要な度数を知ることが大切なんですね。
内田 たとえば歯科技工士の方など、非常に目から近い位置で作業をされる方は度数の高いものが必要であったりするので、必ず自分が見たい距離を伝えるようにしてください。そのうえで度数を決定します。また、老眼鏡の掛け外しが煩わしいと感じる方には、手元からパソコン、さらに会議中のホワイトボード程度まで1本のメガネで見ることができる累進レンズもご提案できます。
目とレンズの位置関係も重要に
内田 もうひとつ、見え方に影響を及ぼすのが瞳孔間距離です。瞳孔間距離とは、左目の黒目の中心から右目の黒目の中心までの距離のことをいいます。じつはメガネのレンズは中心がもっとも見やすい設計になっていて、このレンズの中心と瞳孔の位置を正確に合わせないと見え方の違和感につながります。ですが、既製老眼鏡は日本人の瞳孔間距離の平均値などを参考に中心をレイアウトしているので、必ずしも自分の黒目の位置に合うとは限らないわけです。実際に100円ショップの老眼鏡の中心を計測したので、掛けてみてください。
――レンズの中心が、瞳孔の位置よりだいぶ外側にきていますね。
内田 こうした場合、長時間掛けていると違和感が出てくるかもしれません。近くを見ると、“輻輳”といって目が内側に寄ってきます。そうしたことを考慮して作ったほうが目は疲れにくいです。
掛け心地にも大きな違いが
内田 3つ目は、安価な老眼鏡だと掛ける方のお顔に合わせた調整が難しいということです。そもそも眼鏡店以外での購入ですと調整をしてもらえませんし、眼鏡店に持ち込まれても素材の特性上、破損のリスクがあり調整に対応できない場合も少なくありません。
――安価なものは、フィッティングして使うようには作られていないと。
内田 とくに100円ショップのものは、使い捨てが前提なのでしょう。たとえば当店で扱っているチタン製フレームと比較すると価格には何百倍もの差がありますが、チタンは軽量で柔軟性や耐久性に優れるなど、クオリティの差は歴然です。長時間使うのであれば、掛け心地は良いに越したことはありません。