賞レースで抜群の存在感を放ち続けてきたタイムマシーン3号。

 その秘訣は、自分たちのお笑いを追求するのではなく、お客さんのウケを徹底して追いかけるという独自のスタイルにあった。しかし、タイムマシーン3号にとっての主戦場であった『爆笑オンエアバトル』以降は、客ウケという2人にとっての道しるべを失い、10年近くも迷走していたという。

 そんな2人が再びタイムマシーン3号らしさを取り戻したのは、移籍先の太田プロの先輩芸人から「ウケるんだから、変なことしないでウケればいい」という言葉だった。その結果、15年に『M-1グランプリ』4位、16年に『キングオブコント』4位という華々しい戦績を残した。いまではもうタイムマシーン3号としての形が定着しているのかと思いきや、「そんなこぢんまりまとまっているんじゃねぇ」と突きつけてくる存在が――。(全2回の2回目/前編を読む)

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タイムマシーン3号、山本浩司(左)と関太(右)

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『有吉の壁』出演で小学生の姪っ子の態度が変わった!

――最近は、『有吉の壁』での活躍が話題になっていますね。

山本 CMが決まった人がいたり、反響はすさまじいですね、あの番組は。小学生の姪っ子がいるんですけど、明らかに僕に接する態度が変わりましたから。「おじさんが、『壁』に出てる!」って。学校とかで言われるんでしょうね。「ぺこぱと会ったことあるんだよ」っていうと喜ぶんで、「ぺこぱは、おじさんに敬語使うんだよ~」って教えています(笑)。ありがたいことです。

 ただ、『有吉の壁』の仕事が決まると、いままで感じたことのない感情になりますね。40年間生きてきて感じた喜怒哀楽とはまた違う緊張感というんですかね。「ああ、こういう感情あるんだぁ」って。

山本 正直、今日の取材をお断りしようかと思っていたくらいで。ちょうど昨日の『壁』の収録でスベりすぎて…。常連組でも平気でスベりますからね、あの番組は。昨日はたまらずパンサーの向井に「スマン、話聞いてくれ」って電話して30分くらい慰めてもらいました。初めてですよ、あんな電話したの。

 

スベったのをいじられて…

――それは意外です。タイムマシーン3号といえば、スベり知らずのイメージでした。

山本 いやいやいや! めちゃくちゃスベりますよ! 今までは客ウケを追求してきていましたけど、『有吉の壁』はそれがまったく通用しない。今はコロナの影響もあって一般のお客さんがいなくて、芸人だけがひな壇から見ている感じなので、本当に心をエグられるんですよ…。カットされている部分だけで毎回、アナザーストーリーが作れると思います。20年選手の芸人がみんな、もがき苦しんでますから。

 裏にいると、七色のため息が見れますよ。緊張のため息とか、スベったあとのため息とか…。