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『全裸』はやりたかったことを爆発させた

 そんな時に「どうぞやってください」ってNetflixの人が拾ってくれたんですよ。「やれるだけやってください。文句をいわれたら対処します。うちは弁護団もいるんで」って。これはもう本当に大きなチャンスだった。やらなくていいことから解放される。美術の人が徹夜してありもしない架空のジュースを作らなくて済む。Netflixは「映画を作るつもりでやってください」ともいってくれて。それはかっこよかったですよ。だから『全裸』ではスタッフも腕のある職人も、俳優も今までのやりたかったことを全部、爆発させた。

 たとえば演出では、あの時代をノスタルジックに見せるのではなく、アップデートさせたんです。衣装のデザインを全部現代のシルエットに変えるとか、色使いも元来のものから変えて今ならこの感じとか。リアルで攻めるか、もしくは嘘をつくかで「じゃあ、嘘をつこうぜ」とした。

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 嘘をつくというのは映画の作り方としてどの時代も同じで「この時ジーパンはないけど、かっこいいから穿かせちゃおう」というノリのこと。僕らが60年代の物語を作る時と一緒ですよ。「なんかかっこいい」とか、片や「だっせぇ」とか、過去を面白がって振り返ることってあるじゃないですか。過去を懐かしむのでなくて、過去のいいところだけ取って、駄目なものは「新しくしちまおうぜ」という演出にしたんです。

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出典:「文藝春秋」1月号

 作り手のクリエイティビティが存分に生かされる現場に、武監督は「今では、みんなNetflixへ行けよっていってますもん」と語る。コロナの時代に『全裸監督』のシーズン2を撮り続けられたのも、Netflixの支援があったからこそ、という。武監督による「『全裸監督』で突っ走る」の全文は「文藝春秋」1月号および「文藝春秋 電子版」に掲載されている。

文藝春秋

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武正晴 『全裸監督』で突っ走る
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