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「“性的関係あり”でも仕事だと割り切れないなら続かない」 20年間パパ活で稼いだ女性が明かす“恋愛感情”とは

小説家・志駕晃さんインタビュー#2

2021/02/08
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小説の中の出来事は、週刊誌掲載のニュースとリンク

――東京オリンピックを入れる予定だったということは、本来は別のストーリーになる予定だったんですね。

志駕 トリックなんかは予定していた通りですが、終わり方は思ってもない方向に向かっていきました。

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 小説中に起こっている出来事は、週刊誌に掲載されているニュースや特集とリンクしています。編集部から本誌に載せるネタを毎週もらって動いていました。時には、ニュースなどの影響を受けて最初に想定していた原稿から入稿前の3時間で調節することもありましたよ。

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 現実がどうなるか見通しが立たないと、書き進められない場面もありました。時には警察の捜査を停滞させなければならないことも……。書くのはぐっと難しくなりましたね。

――パパ活だけでなく、ニュースも追いかけるのは至難の業ですね。

志駕 間に合ったのが、今では不思議に感じます。読者からは「今週の出来事がわかるのでうれしい」という声があり、良かったです。

 それに、『女性セブン』の紙面と似せたデザインも取り入れたんです。週刊誌のレイアウターの方に紙面を組んでいただき、女性セブン風を演出。中の原稿も、最初こそ別の方に書いていただいたんですが、構成がわかってからは私が書きました。「インタビューの会話はこうやって書くんだな」と面白がりながら、編集者になった気持ちで走れましたね。

倫理的に見れば、パパ活は良くないことだが...

――志駕さんは、夫として、保護者としてパパ活を見たときの印象はどうですか?

志駕 私は男の子の父親なのですが、自分に女の子がいてその子がパパ活をしていたらショックでしょう。しかもその理由が、自分が満足な学費や生活費を与えられなかったからだとしたら、暗澹たる気持ちになるでしょうね。

写真はイメージです ©iStock.com

 もちろん、倫理的に見れば、パパ活は良くないことです。登場人物の警察官に「パパ活をやるなんて信じられない」と言わせているのも、倫理に反する行為だと、暗に伝えたい意図が表れているのかもしれません。

 しかし、やらざるを得ない現実があるというのをさまざまな角度から見つめなければなりません。それが小説家という職業だと思っています。