文春オンライン

無印良品は“非常識”…商品・顧客を絞らないのになぜ強い? 人気ブランドが必ず押さえている“3つの鉄則”

「無印はブランド戦略の王道を着実に実行」

2021/02/10

source : 文藝春秋 digital

genre : ビジネス, 企業, 経済

note

「ディズニー」といえば陽気なミッキーマウス、では「無印」は?

 無印良品を人にたとえると「寡黙、誠実で実質本位な職人」だ。また私たちは「ディズニー」と聞くと陽気なミッキーマウスを思い浮かべる。このように人はブランドに人間的な個性を感じると、認識と行動が影響を受けるようになる。これが「ブランド・パーソナリティ」だ。パーソナリティ(個性)をもつブランドは、他ブランドとの違いが明確になる。さらに消費者の認知は滅多なことで変わらない。この結果、断然優位になる。

©️iStock.com

 さらに無印良品は、「無印良品なら、ある程度は安いけどムダを省いて品質はいいのだろう」という顧客からの「無印良品」という組織への信頼がある。このように顧客の脳内で「無印良品なら、ある程度安くても品質は高い」と連想するのが、「組織連想」だ。このような組織の価値観も、ブランドを差別化する強力な武器になる。ライバルは、商品だけならある程度は真似できるが、組織の価値観や組織文化はなかなか真似できない。

 このように組織の価値観で差別化するには、企業が時間をかけて組織の価値観にコミットして追求し続けることで、顧客の脳内に組織連想を育んでいくことが必要になる。無印良品も長年「感じ良い暮らし」の実現のために、「シンプルにして簡潔、必要にして十分」を追求し続けてきた。

ADVERTISEMENT

©️iStock.com

 ただこれだけでは強いブランドとしてはまだまだ不十分だ。顧客にとって具体的に何がいいかがわからないからだ。そこで「ブランドの便益」が必要になる。