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無印良品ならではの代表的な商品やサービスはないが……

 ブランドの便益は4つある。無印良品の便益を見ていこう。

 

(1)機能的便益……「何ができるか」だ。無印良品の商品数は5000点。商品もターゲット顧客も絞らない。食品も売るしホテルも運営し車も売る。無印良品ならではの代表的な商品やサービスはないし、各商品やサービスの品質が必ずしも同業他社と比べて断トツに優れているわけではない。このように無印良品が機能的便益に必ずしもこだわらないのは、次の3つの便益を重視するからだ。

(2)情緒的便益……「これを使うとき、私は○○を感じる」という便益だ。無印良品は「これがいい」ではなく「これでいい」(必要で十分)という理性的な満足感を顧客に提供している。

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(3)自己表現的便益……「これを使うとき、私は○○になる」という便益だ。無駄と飾りがない無印良品を買うことで、顧客は「身の丈に合った等身大で感じのいい生活をする自分」になれる。

(4)社会的便益……「これを使うとき、私は○○の人たちの仲間になる」という便益だ。無印良品は顧客の声でさまざまな商品を開発している。たとえば「貼ったまま読める透明付箋紙」は消費者の提案で発売した商品だ。半透明な付箋で本に貼っても下の部分が読めるようにした。無印良品にとって消費者は商品開発の仲間なのだ。

©️iStock.com

 一見、消費者は機能的便益だけで判断し買っているように見えるが、現実には後者の3つの便益で、無意識かつ直感的に買っていることが多い。このように強いブランド・ロイヤルティを生み出すのは、これら3つの便益とブランド・パーソナリティと組織連想なのである。

 このようなブランドの仕組みがわかれば、自分たちが強いブランドを創り上げるために何をすればいいかが分かるはずだ。