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バルミューダの家電はなぜ独り勝ちするのか? “市場調査”に頼った商品開発が失敗するワケ

「マーケティングの基本に忠実なバルミューダ」

2021/02/18

source : 文藝春秋 digital

genre : ビジネス, 企業, 経済

 バルミューダが出し続けている尖った高級家電の一つが、BALMUDA The Light。価格数千円のデスクライトが多い中で、The Lightはなんと税込40,700円。高価だが市場では高く評価されている。なぜか? マーケティング戦略コンサルタントの永井孝尚氏の著書『世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた』から、バルミューダの取り組みを中心に、マーケティングのコツを解説します。

世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた

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マーケティングの基本に忠実なバルミューダ

 家電市場は典型的な成熟市場だ。そんな中でバルミューダは、自然界の風を再現した扇風機「The GreenFan」、水を使って焼くトースター「BALMUDA The Toaster」など、これまでになかった機能を持つ新しい高級家電を世に出し続けて成長している。BALMUDA The Lightもそんな商品の一つ。価格は税込40,700円だ。

BALMUDA The Light(公式サイトより)

 実は私もBALMUDA The Lightを愛用している。目の疲労が激減して執筆作業が捗るのだ。執筆パフォーマンスが向上して、たとえば6ヶ月間かかる執筆期間が1週間だけでも早くなれば、4万円の投資はあっという間に回収できる。

 このBALMUDA The Lightの開発ストーリーは、いわれてみれば当たり前なのに多くの人がなかなかできないマーケティング戦略の基本に忠実だ。このことを教えてくれるのが、マーケティングの大家セオドア・レビットの著書『T・レビット マーケティング論』の冒頭にある論文「マーケティング近視眼」だ。60年前の短い論文だが、この論文は読みやすい上に、マーケティング界に実に大きな影響を与え、いまも通用する深い洞察に満ちている。私自身、折に触れて読み返して自分を戒めている。そこでこの論文に沿って、バルミューダの取り組みを見ていこう。