もし政治家と酒を飲むなら誰が面白いか?
ずいぶん前に酒場で出た話題だ。
私は森喜朗がトップクラスではないか? と想像した(※政界は引退したが広い意味で政治家だと考える)。
ぶっちゃけトークと下世話発言で「もう、先生ったらそんなことまで言って、ガハハ」と距離感は一気に縮みそう。
「実際に会ってみたらいいおっちゃんだった」という人たらしの政治家であり、半径10m以内の人間を取り込む昭和自民党イズム。
密集、密接、密閉という濃密な空間でこそ力を発揮する。森喜朗とは3密おじさんなのである。
「失言」ではなく「普段の価値観」ゆえの問題
しかしそこに「差別」が加わるなら話は別だ。一緒に飲むなんて想像すらしたくない。差別はぶっちゃけトークでもなければ下世話発言でもない。今回の森喜朗の性差別を「失言」と報じる新聞が多いが、あれは普段の価値観が出ただけだ。正常運転だから問題なのだ。失言という表現はやめたほうがいい。
ここで素朴な疑問が浮かぶ。3密空間でこそ力を発揮しつつ、従わない者には差別まで口にし、それを会見で指摘されると公の場でも威圧する人間がよりによってなぜ世界に発信する五輪の組織委員会の頂点にいるのか。なぜ周囲は今もなお森喜朗を担ぎ続けるのか? 森喜朗を考えることは日本の政治と社会を考えることでもある。
「最近女性の話を聞かない」に会場はシーン
2月4日におこなった「謝罪」会見で印象的なくだりがあった。「基本的な認識として、女性は話が長いと思っているか」という質問に対して森喜朗は、
「最近女性の話を聞かないからあまり分からない」
と答えたのである。本人にとっては当意即妙のつもりだったのだろう。若干のドヤ顔だった。しかし会見場はシーン。
森喜朗は心の中で驚いたはずだ。「なぜウケないのか」と。