昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2021/02/08

 いつもの3密空間なら周囲から笑いとヨイショがおきていたはずだ。「またまた会長そんなことを~。最近女性の話を聞いてないなんて。今もおモテになるでしょうに」とかなんとか。山下泰裕JOC会長あたりが言っていそうだ。

 しかしこれをオープンな場でやったらウケないのは当たり前。忖度なんてないからだ。

JOCの山下会長は森氏の続投を希望 ©文藝春秋

過去の失言の裏にあった「ウケ狙い」 

 たとえば森喜朗の過去に問題になった発言をあげてみる。

「大阪は痰ツボ。金儲けだけを考えて、公共心のない汚い町」

「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国」

 前者は自民党京都府連のパーティー、後者は神道政治連盟国会議員懇談会での発言だ。京都で大阪をディスる。いかにもその場の人が喜びそうなことを密閉、密集、密接した空間でウケ狙いに走る。

 森喜朗は追及するTBSラジオの澤田大樹記者に対し「面白おかしくしたいから聞いているんだろ」と言い放ったが、なんのことはない。そもそも「面白おかしくしたい」のは森喜朗のこれまでの手口なのである。そこに今回は差別も落とし込んでいた。その点を的確に突かれたから逆ギレしたのだ。あの会見をよく見るとスベったあたりからイライラし始め、最後に逆ギレしていることがわかる。密室芸が表で通じない瞬間であった。

 座持ちの良さで一気に日本のトップまで駆け上がった森喜朗。半径10m以内のスペシャリスト。

リオ五輪壮行会での森氏 ©文藝春秋

「森氏を頂点とした世界で生きていくしかない」 

 それにしてもなぜあそこまで偉くなってしまったのか。

「スポーツ界にいる人間は、森氏を頂点とした世界で生きていくしかない」(大分合同新聞2月6日)

 これは共同通信が配信した関係者のコメントだ。えええ、日本のスポーツ界スゴすぎる。

 大分合同新聞は『辞任求めず「沈黙」』という見出しをつけた。周囲が畏れて何も言えないのだ。

 森喜朗は14年に組織委員会の会長に就任したがスポーツ界でどう成りあがったのか。キャリアを振り返ろう。

関連記事