いつもの3密空間なら周囲から笑いとヨイショがおきていたはずだ。「またまた会長そんなことを~。最近女性の話を聞いてないなんて。今もおモテになるでしょうに」とかなんとか。山下泰裕JOC会長あたりが言っていそうだ。
しかしこれをオープンな場でやったらウケないのは当たり前。忖度なんてないからだ。
過去の失言の裏にあった「ウケ狙い」
たとえば森喜朗の過去に問題になった発言をあげてみる。
「大阪は痰ツボ。金儲けだけを考えて、公共心のない汚い町」
「日本の国、まさに天皇を中心としている神の国」
前者は自民党京都府連のパーティー、後者は神道政治連盟国会議員懇談会での発言だ。京都で大阪をディスる。いかにもその場の人が喜びそうなことを密閉、密集、密接した空間でウケ狙いに走る。
森喜朗は追及するTBSラジオの澤田大樹記者に対し「面白おかしくしたいから聞いているんだろ」と言い放ったが、なんのことはない。そもそも「面白おかしくしたい」のは森喜朗のこれまでの手口なのである。そこに今回は差別も落とし込んでいた。その点を的確に突かれたから逆ギレしたのだ。あの会見をよく見るとスベったあたりからイライラし始め、最後に逆ギレしていることがわかる。密室芸が表で通じない瞬間であった。
座持ちの良さで一気に日本のトップまで駆け上がった森喜朗。半径10m以内のスペシャリスト。
「森氏を頂点とした世界で生きていくしかない」
それにしてもなぜあそこまで偉くなってしまったのか。
「スポーツ界にいる人間は、森氏を頂点とした世界で生きていくしかない」(大分合同新聞2月6日)
これは共同通信が配信した関係者のコメントだ。えええ、日本のスポーツ界スゴすぎる。
大分合同新聞は『辞任求めず「沈黙」』という見出しをつけた。周囲が畏れて何も言えないのだ。
森喜朗は14年に組織委員会の会長に就任したがスポーツ界でどう成りあがったのか。キャリアを振り返ろう。