首相に就いた経緯も思い出してほしい。
2000年4月に小渕恵三首相が突然倒れて復帰困難となり、自民幹部の話し合いで森喜朗が総理に選ばれた。「五人組の密室談合」と批判されたが半径10m以内で絶大な支持を受ける森喜朗の総決算であった。
「3密」での人気では国民の支持を得られない
しかし不人気すぎて1年で辞任。そりゃそうだろう、密室では人気でも国民からすれば森喜朗を選んだつもりはないからだ。なりすまし首相に支持が集まるわけがない。
そして凄いことにこのギャップは今も続いているのだ。いつのまにか森喜朗は五輪の日本トップとなっていた。
《野党を除けば政官財、どこの分野からも森氏の辞任を求める声が出ない。むしろ取材を続けていると組織委の会長職は「森氏に代わる人はいない」との声ばかりが聞こえてくる。一朝一夕には築けない人間関係が大きく影響している。》(『森会長続投「余人をもって代え難い」と言われる理由』日刊スポーツ2月7日)
遂には「IOCのトーマス・バッハ会長は森氏に絶大な信頼を寄せている」という。その理由もキナ臭い。
《政治と一線を画すのが五輪精神だが、ノーベル平和賞への意欲を持つとされるバッハ氏はむしろ政治との距離を縮めてきた。》
だからこそ森喜朗が求められるのだ。五輪開催に関してアスリートを優先した発言がとことん聞こえてこない理由も納得だ。
「コロナと森喜朗に打ち負けた証」
3密おじさんが五輪のトップというだけで怪しかったが、今回の件が起きても「性差別をする人間をありがたくトップにしたまま東京と日本は五輪に突き進む」という展開となった。世界は衝撃だろう。
「コロナと森喜朗に打ち負けた証」としての東京五輪・パラリンピックがやってくる。何があっても見て見ぬふり。とにかく開催できればそれでいい。こんな日本の現状が世界に発信され続けるのだ。
地獄である。