文春オンライン

“共通症状”もある新型コロナウイルスと花粉症 例年以上の「早め対策」が必要な理由

2021/02/10
note

 今年も花粉症シーズンの到来です。

 いわゆる“コロナ禍”で外出する機会が減り、また外出する際にはマスクを着けることが半ば義務付けられた現況では、花粉症のダメージを抑えられそうな気もしますが、そうは言ってもスギ花粉に強いアレルギーを持つ人や今年初めて花粉症を発症する人にとっては深刻な問題です。

 しかも、花粉症の症状の中には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と重なるものもあります。

ADVERTISEMENT

©iStock.com

 今年は、スギ花粉の飛散と本格的なコロナ禍が完全に重なる初めてのシーズン。対策はあるのでしょうか。専門医に解説してもらいましょう。

今シーズンの花粉前線

「毎年スギ花粉によるアレルギー症状に悩まされている人は、なるべく早めに医療機関を受診しておくことをまずお勧めします」

 公益財団法人東京都保健医療公社荏原病院耳鼻咽喉科医長で、日本耳鼻咽喉科学会新型コロナウイルス感染症対策担当の木村百合香医師は、そう強く呼びかける。

 そもそも今シーズンのスギ花粉の飛散予測はどうなのか。

「飛散量が少なかった昨年(2020年)に比べれば多い量の飛散が見込まれるものの、例年よりは少なめ、と予想されています」(木村医師、以下同)

木村百合香医師

 昨年は一時的な不足状態に陥ったとはいえ、多くの人がマスクを着けて春を迎えた。しかもスギ花粉の飛散量も少なかったため、花粉のアレルギー症状に苦しむ人は比較的少なかった。

 言い換えれば、それでも昨年何らかの症状が出た人は、今年はそれ以上の症状に見舞われる危険性が高い、ということになる。

 加えて今年は新型コロナとスギ花粉の双方が本格的に飛び交う初めてのシーズン。そのどちらにも共通して起き得る症状があるので、混乱が予想される。

コロナと花粉症の“共通症状”

「花粉症とコロナの両方に起き得る症状は嗅覚障害、つまり“においが分からなくなること”です」

 ただし、花粉症とコロナとでは、同じ嗅覚障害でも発症のメカニズムが異なる。木村医師が続ける。

「花粉症の嗅覚障害は、鼻の粘膜の炎症で鼻の通りが悪くなって起きる、つまり“鼻づまり”が原因。だから鼻の通りをよくすれば嗅覚も戻ります。一方、新型コロナの嗅覚障害は、ウイルスが嗅覚を司る神経細胞にダメージを及ぼすことで起きる症状。鼻がつまっていないのににおいが分からないときは新型コロナ感染症の可能性があります」

 日本でコロナ感染者のうち嗅覚障害を訴える人の割合は欧米に比べて少なく、約2割と言われている。