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「悪徳腐敗官僚より売春婦のほうがまし」 貧困からの脱出を阻む中国の戸籍制度のリアル

『中国人「毒婦」の告白』#32

2021/02/25
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女の子はカネを生む“金の卵”

 詩織の両親は詩織の上に姉2人と兄、そして妹の5人の子どもをもうけている。一人っ子政策施行前に授かった子どもたちだが、そうした時代でも女子は男子よりも一般的に粗末に扱われたようだ。要は一人っ子政策施行前も後も、労働力にならない女の子は、一種邪魔者扱いだったのだ。

 ところが、その女の子が開放経済の進展と共に、農家にとっては“金の卵”に変貌する。開放政策で経済が発展すると共に、都市にナイトクラブ、カラオケクラブ、床屋、マッサージ屋などのいわゆる風俗産業が雨後の筍のように増殖したからだ。彼女たちは、そうした風俗産業の主力部隊となったのだ。そうした風俗店の女性が売春をするのは半ば公然だったし、背後にはマフィアだけではなく軍や公安まで存在した。

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「中国でも売春は禁止だし組織的な場合は主犯格は死刑という厳しい法律もあります。しかし、取り締まる公安が裏の支配者だったりするのですからどうにもなりません。それに風俗産業の売り上げ高は今や8兆円に達するともいわれています。農村部や貧困層の救済、社会保障がままならない中国においては、この種の産業を抜きにしたら、何億もの人たちが食べていけなくなるから完全な取締りなど不可能で、どうすることもできないというのが現状でしょう。それに、悪徳腐敗官僚よりも、むしろ体を張って稼ぐ売春婦のほうがどれだけましか、と一般大衆は受け止めています」(在上海日本人商社マン)

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巨大化する中国の風俗産業

 中国では純粋に売春だけに頼る女性に限っても1000万人から2000万人といわれ、そこに場所提供者、精力剤やコンドームの販売業者などあやしげな周辺人口まで入れると実におびただしい人々が風俗産業で糊口をしのいでいることになる。

「売春相場は、金持ち中国人や外国人相手で、だいたい400元(約5000円)から800元(約1万円)。一般中国人相手では250元(約3000円)前後。従って、ひとりの女性が稼ぐ額は、一般中国人を相手にする場合ですら、年間250万円。香港、台湾のビジネスマンや日本人などの外国人相手の場合は320万円から500万円以上になるといいます。年間、5万円しか稼げない農家にすれば、売春とはいえ娘が仕送りしてくれる、何百万という金は、まさに旱天の慈雨なのですよ」(中国裏事情に精通する在北京日本人)