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「処理水問題の風説を放置したことの反省はある」 原発事故収束担当大臣だった細野豪志氏が語る“責任”

細野豪志氏、竜田一人氏対談#2

genre : 社会, 読書, 働き方

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処理水は早く片付けてもらいたい

細野 その一方で、目の前でやっている細かなことと廃炉という最終目標との間には、ものすごい距離がありますね。

竜田 最先端でそういうことをやっているかと思えば、健康にリスクを与えない処理水すら棄てられないとか、そういう話なので。

細野 処理水についても伺いたいと思っていました。夜中にもいろいろな地道な作業をやっているという話が漫画に出てきますが、処理水の見回りも一つの作業じゃないですか。私が現場の人に聞いたところ、日に最低でも2回は見回っていると。延々と並んでいるタンクは竜田さんも含め、作業員の方にとっては見慣れた風景ですよね。

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竜田 最初の頃はなかったんですけどね。どんどん増えてきた。今、新規には、私が見ていた頃のタンクとは全然違う水準のものが建っています。

※写真はイメージ ©️iStock.com

細野 巨大なタンクが約1000基も並んでいる。何とかしたいですね。

竜田 本来ね、あんなものは保管し続けなくて良かったので、できれば早く片付けてもらいたいですよ。

細野 ちょっと引っ張りすぎた感があるんです、処理水は。福島の原発の作業や周辺環境というのは、常に風評との戦いでもあったわけですよね。例えば、働いていた外国人が死んじゃって、ドラム缶で焼かれたみたいな都市伝説的な話も出てきますね。

竜田 ただのデマですよ。

デマや風評とどう向き合うか

細野 さすがにそのデマに騙される人はいないと思いますが、風評にどう向き合うかという問題は常にあります。甲状腺検査のことなども、事故から10 年経って、そろそろ本当に必要なのかということを議論しなければなりません。でも、いまだに甲状腺がんが増えていると信じている人もいます。

東日本大震災のあと ©️iStock.com

竜田 あんまりね、もう、そういう不安だとか、あとは風評だとか取り合わないほうがいいんじゃないですかね。そういう時期に来たんじゃないかなと思いますよ。事故当初は確かに何も分からなかったので不安に思う人がいて、それに対してある程度のケアをしていくことも必要だったでしょう。風評被害も実際にあったし、何らかの手を打っていく必要はあったと思うんですけどね。

 でも、もう今、「風評」っていっても、そんなに気にしている人もいないんじゃないですかね。改めて聞かれれば「心配です」って言う人はいるかもしれないけど。いまだにデマとか風評とかを信じてる人ってもうごく一部ですよ。それが実際の消費行動とか売り上げに影響してくることは、もうないと思ってます。むしろ、そこをあまりにも気にしすぎるせいで商売を広げられないということになるなら、「いつまでやってんの」っていう感じですよ。