東京メトロ丸ノ内線といえば、東京都心をぐるりと回って走る大動脈路線のひとつだ。池袋・大手町・東京・銀座・赤坂見附と東京の主要なスポットを駆け抜けて、大ターミナル・新宿を経て終いには郊外の荻窪を目指す。通勤通学にも使えるし、仕事中の外回りなんかにも役に立つ、すこぶる便利な地下鉄である。
ところが、である。2年ほど前から、変な行き先が現れているのだ。一度、新宿三丁目から丸ノ内線に乗って荻窪に行こうとしていたとき、ホームに入ってきた電車に何気なく乗ったらそれは方南町行きだった。
方南町行きということは中野坂上から支線に移ってしまって荻窪にはいかない。あっと気がついたときにはもう遅く、中野坂上駅のお隣の中野新橋駅からすごすごと中野坂上に戻るハメになったのである。
以来、方南町という駅が気になって仕方がない。調べてみると、2019年から新宿・池袋方面からの列車が方南町まで乗り入れるようになったという。
それまでは、3両編成の列車が中野坂上~方南町間で折り返し運転をしているに過ぎなかった。だから、荻窪方面に向かうときには何も考えずに来た電車に乗ればよかったのだ(新宿止まりの電車もあったが、その場合は諦めて新宿で後続の列車を待てばよいので被害は少ない)。
それが、2019年以降方南町行という電車が入り混じってきたのである。方南町に向かう支線沿線に住んでいる人にとっては便利になって万々歳なのだろうが、日常的に丸ノ内線に乗っているわけではない筆者のような人にはちょっとしたトラップになってしまった。
そんなわけで方南町駅が気になっていたのだが、一度も訪れたことはなかった。なので、この機会に方南町まで行ってみることにした。いったい方南町、何があるのだろうか。
「方南町」には何がある?
新宿駅から方南町まではわずか10分。地下鉄なので窓の外を眺めても仕方がないから、ぼんやりスマホでも見ているとあっという間に到着した。最近はずいぶん遠い終着駅ばかり訪れていたから、その近さにちょっとあっけにとられてしまう。