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いままでありがとう…! 3月のダイヤ改正で「さよなら」する“名列車”たち

2021/02/18

genre : ライフ, 社会, 娯楽,

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月の光に導かれる夜行「ムーンライトながら」引退

 ダイヤ改正では、名物列車・快速「ムーンライトながら」(東京~大垣間)」も廃止となる。同列車は1996年、それまで運転されていた「大垣夜行」を引き継ぐ形で登場した夜行快速。

©iStock.com

 2009年からは臨時列車として、春・夏・冬の青春18きっぷシーズンに運転されていた。鉄道ファンはもちろん、“貧乏旅行”を楽しむ学生たちにも愛されてきた由緒ある快速列車である。

 夜に東京駅を発車するムーンライトながらに乗れば、早朝に大垣駅に到着。そこから普通列車を乗り継げば、その日のうちに九州までたどり着ける。「より安くより遠く」という“青春18きっぷ”旅行者のビジョンを実現するためには肝となる列車だった。

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 同列車の廃止についてJR東海によれば「お客さまの行動様式の変化により列車の使命が薄れてきたことに加え、使用している車両の老朽化に伴い、運転を終了」としている。車両は近年では、先の185系を使用していた。185系がなんだか「老害」扱いされているようで悲しい気持ちもある。

「ムーンライトながら」も185系の車両だった ©️Kanako Azuma

 ムーンライトながらは、2020年春には運行されたものの、その後新型コロナウィルスの影響で、夏・冬は休止。それ以降、走ることはなかった。事実上、昨年3月がラストランとなっていた。

乗車未経験者も惜しむ「夜行の魅力」

 ネットの声を見れば「ひとつの時代が終わった」「嘘だと言ってよ」「一度は乗りたいと思ってたけど結局乗れず。夜行がどんどん消えるのは寂しい」など、乗車未経験の人までもが廃止を惜しむ事態となっている。

「月の光」に導かれるように暗闇をまっすぐ進む名前は、ロマンティックでポエティックな想像を掻き立て、「なんだかエモい」と女心をくすぐる。このムーンライトシリーズは、過去に「ムーンライトえちご」(新宿~新潟間)や、「ムーンライト信州」(新宿~松本・信濃大町・白馬間)などがあったが、いずれも現在の定期運行はない。

 ムーンライトながらだけでなく、ほかのムーンライトシリーズのサプライズ復活を、鉄道ファンは願ってやまない。